Plan...
□ふぉー!
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「マルコの何が良いわけ?」
「え、いつだって眠そうな眼と厚めの唇にパイナップルのようなバナナのようなさらさらでいて不思議なヘアーになんて言ったって3つも開いたYシャツの間から見える胸板からなんて色香がぷんぷんでていうよりもう存在そのものがフェロモン大放しゅt「悪ぃ、聞いた俺が馬鹿だった」」
自分から聞いてきた癖に、何故そんなげっそりとした表情で止めるんだ。失礼な奴め。
放課後、スモーカー先生の授業をいつもどおり寝て過ごし、いつもどおり居残り補習を命じられたエースに、これまたいつもどおり付き合いポッキーをぽりぽり頬張る。
先程の言葉からわかるように、これはほぼ日課に近い。
「あー、じゃあ、いつからそう思うようになったわけ?」
「え、そんなもん一目見た時からに決まってんじゃん」
「いやそんな胸張られても」
本当は、ちょっと違う。
先輩が素敵なのは間違いないし、色気むんむんなところにめろりんラブなんだけれども。
一目惚れ、ではない。
なんて表現したらいいかわからないけど、
『変わった奴だよい』
おかしそうに笑うその笑顔がとても優しくて、
『でも、嫌いじゃねぇ』
頭を撫でてくれたその手が、とても温かくて、
嬉しかった。
サッチやエースとは、何かが違う。
無償に、泣きたくなったんだ。
その違いが何なのか考えた時に、これが恋ってヤツなんじゃないかって思った。
だから、恋なの。
例えば、形のあるものならば「コレは何?」という質問に、「それは机」という明確な答えが返ってくる。
でも、形の無いもの(酸素とかは勿論除いて、)には、正確な答えがない。
ましてや具体化しない気持ちなんて自分が名前を決めちゃえば例え本質が違っていてもそうなってしまうんだから、あたしは間違っていないと思う。
この気持ちが恋じゃないとしても、あたしが「恋」なんだって決めたんだから、それはもう恋であって、マルコ先輩が好きっていうことなんだ。
それは、違うのかな。
あたしは、頭がおかしいのかな。
「・・・まあ、」
エースの声に、ハッと我にかえる。
いつの間にか長い物思いにふけっていたらしく、気が付けばエースは机の上に肘を付いて、その手のひらに頬を乗せ、こっちをジッと見つめていた。
「見てて面白いから、なんでもいいんだけどな」
二ッと笑うエースが、あまりにも面白そうだったから、
「じゃあ、最初っから聞かないでよ」
あたしも笑った。
エースが笑うと、安心する。
サッチが頭を撫でてくれると、嬉しいと思う。
あたしの存在を、認めてくれてるって思うから。
でも、マルコ先輩だけはちょっと違う。
マルコ先輩には、あたしがここに存在してるって、
あたしを、
認めてもらいたいって、思ってるんだと、思うんだ。
「それよりさ!今度、家庭科で調理実習あるじゃん!!
それで先輩にプレゼント大作戦なるものを計画しているんだけど・・・」
「あれ、お前料理の才能って皆無に等しかっただろ?」
「失礼な!!最近おにぎりくらいは作れるようになったんだからね!!」
「それ料理って言わねぇし!!!」
「てめぇ等!真面目にやりやがれ!!」
放課後の日課。
(ちょ、スモーカー先生!人の恋路の邪魔しないでよ!!)
(恋路より前に補習の邪魔するんじゃねぇ!!)
(高校生の青春だよ!思春期だよ!?エースの補習よりあたしの恋路の方が全っ然大切!!!)
(思春期は関係ねぇだろ)
(恋の方程式はあたしとマルコ先輩以外解けやしないのよ!!)
((・・・俺にもわかんねぇよい))
((我ながら少しでも血が繋がっていることが恥ずかしい・・・))