この想いを消して
□同じもの
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なんとなくE組に馴染めてきた朝。
いつものようにけたたましく鳴るチャイム。
ドアを開けるといつもように
笑顔で出迎えるカルマがいる。
「毎日毎日やめてくれない?
うるさいんだけど」
「名無しちゃんが早く出てくれば
いいだけの話だよ」
どう考えても
嫌がらせ以外の何ものでもない。
飽きもせず毎日毎日
本当によくやる。
カルマから聞いた話
手間を惜しまないことが
嫌がらせの極意だと言っていた。
余程暇なのだろう。
迷惑極まりない。
「あ、そうだ。はいこれ」
「ん?なにそれ?」
「弁当だよ。前に作ってって言ったでしょ」
「へぇ〜本当に作ってきてくれたんだ。
あは、ありがとー」
カルマは名無しから貰った弁当を
嬉しそうに眺める。
純度100%の笑顔。
そんなに嬉しそうな顔をされたら
誰だって悪い気はしない。
「今日一緒に食べようよ。
渚くんと茅野ちゃん誘ってさ」
カルマは二人っきりでなんて言ったら
きっと断られると思い
なるべく不自然じゃないように誘った。
案の定名無しは
すぐに了承した。
渚と茅野には悪いが
折角名無しが自分のために
作ってきたくれた弁当を
二人に見せびらかしたい気持ちもあった。
何が入っているのか。
どんな味なのか。
昼休みが楽しみだ。