この想いを消して

□はじめまして
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「○○名無しさん、
あなたをE組に歓迎します。
席はカルマくんの隣ですね」


名無しは殺せんせーが
指した方向に目を向けると
堂々とした足取りで自らの席に着いた。

すると隣の赤い髪の
挑発的な目をした男子が
名無しに手を差し出してきた。


「よろしくね名無しちゃん。
俺、赤羽業。気安く下の名前で呼んでよ」


名無しは少し驚いた。

表情は一切変えないものの
内心この赤羽業と名乗った少年を
不思議に思った。

普段なら自分の乾いた自己紹介を聞いて
気安く声をかけてくる人なんていない。

むしろ怯えた目をされる。


だからここでも
声をかけてくる人なんて
いないと思っていた。

だがここはプロ。

一瞬動揺してしまったことを
相手に悟られないように
冷静なフリをして
差し出された手を握った。


「よろしく、えっと…カルマくん?」


握手をするとカルマは満足げに笑った。

その笑顔は
どこか悪戯心が隠れているような
本当に嬉しそうなような…


カルマは自分を
怖いとかんじないのだろうか?

名無しが暗殺者だということは
おそらく防衛省の烏間さんから
聞いているだろう。


それなのに話しかけてくるなんて…

不思議な感覚だ。
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