この想いを消して
□はじめまして
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「…さて、
それでは入ってきてもらいましょうか。
どーぞ中へ!」
殺せんせーの合図とともに
E組の立て付けの悪い戸から入ってきたのは
ショートの黒い髪に紅い目をした少女。
決して身長は高い方ではないが
すらっとしたモデルのようなスタイル。
クラスの男子は歓喜の声を上げた。
「では、自己紹介をお願いします」
「フランスから来ました、
○○名無しです。
フランス育ちですが生まれは日本です。
よろしくお願いします」
○○名無しと名乗った少女は
笑顔でお辞儀をした。
客観的にみればとても愛想の良い挨拶。
けれどE組の彼らは気付いた。
彼女は一切"笑ってなどいない"ことを。
まるで何かのマニュアルのように
貼り付けられた笑顔と紡ぎ出された言葉に
彼女がただの生徒ではないことを
実感させた。