この想いを消して

□また
1ページ/3ページ




カルマは男部屋に戻ると
何やら他の男子たちが
面白そうな会話をしていた。

内容は気になる女子ランキング。


「お、面白そうなことしてんじゃん」

「カルマ、良いとこ来た」


磯貝がちょいちょいとカルマを手招きし
輪の中に入れる。


「お前クラスの中で気になる娘いる?」

「みんな言ってんだ。逃げらんねーぞ」


カルマは考え込むフリをする。

気になる娘というか好きな娘なのだから
もう名前は頭の中に浮かんでいる。

ただ、即答してしまうと
みんなにバレてしまうのが嫌で
考えるフリをした。


「…うーん…名無しちゃんかな」

「お、やっぱり!」

「だよな〜。登下校一緒にいるし。
弁当も同じだし」

「○○さんもカルマには
気を許してるところあるよな〜」



なんだかもう半分バレてる気がする。

名無しがカルマに対して
気を許してるのかどうかは
本当のところ分からないが
側から見てそう見えるのなら少しは
信頼してもらえているのだろう。

ランキングを見る限り
神崎と名無しが一位。

矢田が三位で次に倉橋、茅野と続く。

どうやらクラス内には
ライバルが多いようだ。

今すぐにでも名無しのことが
気になっている奴をあぶり出して
痛めつけてやりたいところだが、
とりあえずは我慢しておこう。

彼女との仲を見せつければ
邪魔な奴等はよってこない。

見た感じ、クラス内で名無しと
一番仲が良い男子はカルマだろう。


「みんな、この投票結果は男子の秘密な。
知られたくない奴が大半だろーし」


磯貝の言葉に男子全員が首を縦にふる。

確かにこんなランキングが知れ渡れば
男女の関係がギクシャクしてしまう。


「女子や先生には絶対に…」


と言いかけた磯貝は窓の方に目をやり
冷や汗を垂らした。

殺せんせーが窓にへばりついて
男子部屋をニヤケ面で見ている。

サッと何かをメモると
一目散に去っていった。


「メモって逃げやがった‼︎殺せ‼︎」


その合図とともに
対先生用ナイフと銃を持って
殺せんせーを追いかけ回す。


「待てやこのタコ‼︎生徒のプライバシーを
侵しやがって‼︎」

「ヌルフフフ。先生の超スピードは
こういう情報を知るためにあるんですよ」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ