この想いを消して

□同じもの
1ページ/3ページ


なんとなくE組に馴染めてきた朝。

いつものようにけたたましく鳴るチャイム。

ドアを開けるといつもように
笑顔で出迎えるカルマがいる。


「毎日毎日やめてくれない?
うるさいんだけど」

「名無しちゃんが早く出てくれば
いいだけの話だよ」


どう考えても
嫌がらせ以外の何ものでもない。

飽きもせず毎日毎日
本当によくやる。

カルマから聞いた話
手間を惜しまないことが
嫌がらせの極意だと言っていた。

余程暇なのだろう。

迷惑極まりない。


「あ、そうだ。はいこれ」

「ん?なにそれ?」

「弁当だよ。前に作ってって言ったでしょ」

「へぇ〜本当に作ってきてくれたんだ。
あは、ありがとー」


カルマは名無しから貰った弁当を
嬉しそうに眺める。

純度100%の笑顔。

そんなに嬉しそうな顔をされたら
誰だって悪い気はしない。


「今日一緒に食べようよ。
渚くんと茅野ちゃん誘ってさ」


カルマは二人っきりでなんて言ったら
きっと断られると思い
なるべく不自然じゃないように誘った。

案の定名無しは
すぐに了承した。

渚と茅野には悪いが
折角名無しが自分のために
作ってきたくれた弁当を
二人に見せびらかしたい気持ちもあった。

何が入っているのか。

どんな味なのか。

昼休みが楽しみだ。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ