この想いを消して

□メモ
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名無しとカルマが登校している途中
ものすごいスピードで二人の前に
立ち塞がってきたのは殺せんせー。

相変わらずマッハ20は
見ていて圧巻の速さだ。


「おや、○○さんにカルマくん。
二人仲良く登校ですか?」


ゲスい。

殺せんせーの顔がとてつもなくゲスい。

何を企んでいるのかわからないが
なぜか二人で一緒にいることが
すごく駄目な気がしてきた。


「違いますよ殺せんせー。"たまたま"です。
"たまたま"」

「あッれぇーなんで隠すの?
正直に約束してましたって
言えばいいのにー」

「約束なんてしてないから。
カルマくんは黙ってて」


殺せんせーは何やら懐から
メモを取り出すと
何かをメモった。

"ふむふむ、なるほど"

と、まるでどこかの
探偵のような台詞を言いながら。

名無しは直感的に
嫌な予感しかしなかった。

恐る恐る殺せんせーにそのメモについて
尋ねてみる。


「殺せんせー、何メモってんの…?」

「ヌルフフフ。先生実は3月までに
生徒全員の恋話をノンフィクション小説で
出す予定なのです。
楽しみにしててくださいね」



そう言って飛び立っていってしまった
殺せんせー。

カルマの方に目を向けると
顔を引きつらせながら笑っている。

きっと名無しと思っていることは
同じだ。


「ねえ…カルマくん。
あのクソダコ今なんて言った?」


殺気を込めた名無しの言葉に
カルマも同じ気持ちだと言わんばかりに
同じく殺気のこもった声で返答する。



「…恋話をノンフィクション小説で
出版するって言ったね」

「これは…」

「何としても…」

「「そのメモを奪い取るしかないね」」



名無しとカルマは
全速力で殺せんせーを追いかけた。

二人の脚力は
通常の中学生より断然速い。

しかし
マッハ20の殺せんせーに
追いつけるわけもなく…

あっという間に旧校舎についてしまった。


「はあ…はあ…はあ…あのクソダコ…
暗殺者の名にかけて…
必ず殺す…はあ…はあ…」

「それ…はあ…はあ…俺も…
手伝う…はあ…はあ…」



今ほど必ず殺すと思った相手はいない。

ノンフィクション小説と言いつつ
どう考えても殺せんせーの憶測が
入っている。

そんなものが広まれば
学校に行けないどころか
地域内にいることさえ恥ずかしくなる。


二人がこの会話をしているとき
殺せんせーが物陰に隠れて
また何やらメモをしていたことを
二人が知るまであと数秒。





"暗殺が結ぶ恋情"

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