この想いを消して
□休み時間
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キーン…コーン…カーン…コーン…
授業終了チャイムとともに
席を立とうとした名無しの周りに
クラスの人たちが質問をしにきた。
「ねえねえ!○○さんって
フランス育ちなんでしょ?
どんなお菓子があるの!?」
「あ、それ私も聞きたい!
やっぱりエクレアとかマカロンは
定番だよね〜!!」
「フランス語とか話せるの?」
「○○さんって
肌綺麗だよねー!
どこの美容液使ってんの?」
「あ、○○さんって勉強得意?」
「それ聞くなら運動でしょ」
「暗殺者なんだから
運動は得意に決まってんでしょ」
四方八方から飛び交う言葉に
ついていけない。
次から次へと人は集まってくる。
どうなっているんだこのクラスは。
暗殺者だと言っても
ただの一般のクラスメイトのように
接してくるE組の面々に
名無しは戸惑った。
こんな経験は初めてだ。
暗殺ばっかりで
まともに学校に行ったことはなかった。
友だちという存在もなかった。
彼女にとって
暗殺とは今までの人生そのものであり
学校に通うこと自体が
よく分かっていなかった。