駄文
□好き、の何倍も君を
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「ひっ…あ、っ……やぁ、っごくで、らく」
「っ…すいませ、ん10代、目」
ごつごつした指が柔らかな内壁を擦り、弄る度に甘いくぐもった声が漏れる。
ちらりと聞こえた軽い拒絶の声に、獄寺は少し口元で笑った。
(今やめたりしたら、10代目は怒るのに)
好き、の何倍も君を
ずるり、と指を引き抜くと、大きく熱を持つ自身をあてがう。
ひくひく身体を震わせるツナを見て、獄寺は幸せそうに微笑んだ。
「…っふ……んぁ」
「力、抜いててくださいね。――ゆっくり、しますから」
こくり、とツナが頷くのを確認して、獄寺は少しずつ自身を中へと進めていく。
顔を近づけるたび鼻をくすぐる甘い香りがいとおしくて大好きで、獄寺はツナの肩に額を当てた。
近づきたい、一つになりたいと。いくら身体を重ねたってそれは変わらないことだと、獄寺は何となく思う。
(セックス以上の、思いを伝える方法なんて知らない)
「……んんっあ…ひゃあっ…ご、くれ」
「じゅーだ、いめっ」
「もっ、と……もっと………っあ」
突き上げる感覚に、ツナの身体はぶるりと震えた。身体中が熱くて、快感を逃す術を見つけることができなくて。
ギリギリまで抜かれては、ぐちゅ と音を立てて奥へ奥へと突かれる。そのたびに甘い息が洩れて、獄寺の顔は苦しそうに歪むけれど、その想いはますます高ぶって。
好きで好きで、いくら繋がっても、自分の中の「好き」が増えてゆくだけ。
(好き、好き以上に好きなのに伝わらない)
「…じゅー、だいめ……っ」
「ひあああっ、んぁぁ」
最奥を突かれてぎゅっと蕾が締まると、それに促されるように白濁が注がれる。
なんだか急に胸が疼いて、ツナは獄寺の肩に少しだけ強くしがみついた。
「…腰が痛い、かな………少しだけ」
大丈夫っすか、なんて優しい声で訊かれたって痛いものは痛い。その痛みすら嬉しくて、ツナはにこりと笑う。
「すみません、なんつーか手加減できなくなっちまいまして」
「動けなくなっちゃったの、獄寺君のせいだからね」
「じゃあ責任をとって、今日は俺もあんま動かないことにします」
獄寺は顔を幸せそうにくしゃっと笑い、力が抜けてくたりとしたツナの髪を優しく撫でた。えへへ、とはにかむツナの表情に、きゅっと胸が鳴る。
身体を重ねた後のゆったりとした甘い時間が、大好きで。獄寺を見上げたツナは、体を伸ばして頬にそっとキスをした。
(獄寺君、横顔きれーで好きだなぁ)
「今日はさ、ずっと獄寺君をひとりじめ…できるから、嬉しい」
「じゅーだいめぇ」
いつも周りに気を遣わなければならずに、存分に甘えられないのだ。男と男が付き合ってるだなんて、世間的に認められない。
だから、今日だけは。
(好き、以上の好きをあなたに。)
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