駄文
□きらきらふわり -に-
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水中を見せないための泡風呂が、今となっては少し憎たらしい。身体のどこをなぞられるかがほとんど解らずに、突然過敏なところを撫でられてびくっとしてしまう。
甘い声を出せば、それは浴室中にいやらしく響く。
「……っや、ごく、でらく…ん」
「…10代目、すげえやらしいっす、ね。10代目のここ、めちゃくちゃ熱いです」
下半身を刺激する手は止まらず扱く。上を向いて勃ち上がった綱吉の先端から溢れる先走りは湯の中に混ざって、みえない。高まる熱は、脳だけでなく身体全体をおかしくした。
握ったり撫でたり、くいっと指をあてがうだけで。身体はもっと強い刺激欲しがっているというのに、獄寺が与えるのは優しすぎる愛撫。
ついもどかしくなって、綱吉は身体を軽く揺らす。
「……っ、もっと」
「何ですか?じゅーだい、め」
温かい吐息を耳に掛けるように、獄寺はゆっくり低い声で囁く。解ってるくせに、なんて言える余裕すら無い綱吉は更に身体をしならせた。
「……もっと、ちゃんと、して……?」
「10代目の仰せのままに。………頼んだのはあなたなんですから、覚悟してくださいね」
「ばか。………っふぁ、んっあ、ごく…でら、くっ」
ふっ、と笑うと獄寺もまた嬉しそうに微笑む。
耳元にあった筈の唇は、いつの間にか胸にあって。ぷっくりと色づく突起に這わされた舌と、たまに甘噛みする唇に翻弄される。
適度な熱に犯された、白い肌を持つ身体は泡の映えるような朱に染まっている。
何度か身体を重ねたことはあるが、それは全て清潔なシーツに包まれての情事。場所のせいか雰囲気も妙に生々しいものがあり、綱吉はその一風変わった甘さに酔っていた。
「…あっ、んっあ…やぁ……ふぁ」
「10代目はここ攻められるの、お好きですよね」
堪らず、うわずった声を出した。獄寺は悪戯っぽい表情で、両胸の頂を引っ張るように摘まみあげた。また、熱っぽい声が綱吉から漏れる。
泡で満たされる水面は、小さな動きにも反応してふるふると泡を飛ばす。小さなしゃぼん玉が揺れ動いて浮かび、きらきらと空中を舞った。
七色に揺らめくその泡たちを見て、綱吉はぼうっとしながらも微かに笑みを浮かべた。フローラルのいい香りが鼻の奥を擽って、幸せな気分になる。
心はこんなに穏やかだというのに身体の反応はそれと裏腹に過敏になっていて。触られるだけじゃ物足りなくなって、もっと刺激を欲していて。
「……どうしたんすか、何かしましたか?」
「別に。……っ、ねぇ…は、やく」
「積極的、ですね。…いつもより興奮してるみたいで、嬉しーです」
綱吉は、かあっと頬が紅くなるのが感覚的に分かった。いつもと違う状況で、面白いくらいに煽られて。
もっと欲しい、もっと感じたいなんて。
「ゆび、挿れます、ね」
綱吉の華奢な腰をそっと抱き上げ、膝の間に背を向けて座らせる。後孔に指をあてると、遠慮がちに少し指を押し入れた。
「ひっ……っあ、ふああっ」
「なか、すごく熱くてやーらかいです。もっと奥まで挿れますよ」
「あっ、はあっ…んふぁ」
「声、たくさん聴かせてくださいね」
やわやわと解すように動く指先を、きゅうっと締め付ける。徐々に食い込むようにして侵入する指。
指が内壁を上へ上へと擦り上げるようにして、綱吉の中を解してゆく。
いつの間にか弄る指の本数は増えていて。綱吉の頭の中は甘い刺激だけに支配され、白くなっていた。
放った白濁は泡の中に溶け込んでしまった。汗とか体液とか、いろいろ混じってんだろなあなんて考えてはぼうっと。
「ひゃ」
「可愛すぎですってば」
指が抜かれ、内側からの刺激が消える。綱吉は少しだけ獄寺に寄りかかるようにした。すると腰の辺りに触れたのは、獄寺の熱くなったそこだった。
綱吉がちらりと上を見上げれば、色を帯びた綺麗な瞳にじっと見つめられていることに気づいてしまって。
「……ねぇ、早く」
強請るように首筋にキスをして、綱吉は筋肉質の身体に抱きつく。
お湯と体温の温かさじゃ物足りない程に、熱を欲しがるのはどうしてか。
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