ツバサ長編 番外編2
目の前にいたのは、黒猫。ファイに頼まれて、黒鋼と買い出しに行ったれんかの目の前にいたのは、黒猫。
「黒鋼、黒猫、黒」
「あぁ?」
いきなり何だと、黒鋼は思って、立ち止まって、黒猫の目線に合わせたれんかを見た。
「一人?、違う、一匹?」
「どこ行く?、散歩?昼寝?」
「飼い主、いる?、野良猫?」
どうやら、れんかはその猫が気に入ったようで、いつもよりも口が動いていた。黒猫はしばらく、れんかの話を聞いていたのかどうかはわからないが、動かずにいたが、しばらくして、何故か黒鋼に近づいてきた。
「なんだよ」
「猫、好き?」
「ふつうだ」
「飼える?」
「無理だろ」
黒猫を抱き上げて、黒鋼に、飼いたいと言ったれんか。
だが、ここにずっといるわけではなく、サクラの羽根が見つかれば、すぐにこの国を去る。可哀相なのは、この黒猫だ。
「猫は自由が良いんだよ」
「自由?」
「おう」
れんかはしばらく黒猫を見ると、優しく黒猫の頭を撫でて、下ろした。
「ばいばい、黒猫」
黒猫は、そそくさとどこかに行ってしまった。
「自由、好きなこと…出来ること?」
「あぁ?まぁ、それもあるだろうな」
「…」
「帰るぞ」
「れんかさん、どうしたんですか?」
「帰ってきてから、ずっとなのー」
「何かあったー?」
れんかは、帰って、ファイに買ったものを渡すと、おもむろに、黒鋼にぎゅーっと抱きついた。一向に離す気配もないので、黒鋼はもう何も言わなかった。
「自由、寝る」
「お前の自由は、寝れることか」
「好きなとき、寝れる」
「だったら離れろ」
「あったかいもの、抱きついて寝る」
「俺は抱き枕じゃねぇ!」
れんかの自由の定義。
暖かいもの(黒鋼)に抱きついて、好きなときに寝ること。
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