短編

□光年
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「銀ちゃーん!今日は夜空が綺麗アルヨ!」
「お、本当だな。雲一つない………」
「?どうしたネ銀ちゃん」
「……いや、何でもねーよ」



光年




「のぅ金時。おんしはどうして昼は空が青いか知っとるがか?」
「…いや?知らねー」

いつも冗談ばかりを口にするこいつがやけに真面目な口調で聞くから。薄い青色の空を眺めながら今にも飛び立ってしまいそうな程、魅せられていたから、俺はいつもと変わらない口調で適当に答えてやった。

「空が青いんは…沢山の空気の層と太陽の光のせいなんじゃ…」
「ふーん」

これまた適当な相槌を打てば会話が途切れてしまった。風と鳥の囀りのみが行き渡る空間で未だ空を見続ける男の背中は、宇宙に行きたい、とそれだけを安易に伝えていた。

「……しかしのぅ…」

だがボソッと呟いたその言葉には何らかの躊躇いが含まれており。

「………何かあんのか?」

さり気なく聞いてみたが辰馬は少し笑っただけだった。

「金時に隠し事は無理じゃ…」
「宇宙に行きたいんだろ?」
「………ん」
「なら……行けよ」

驚いたようにこちらを振り向いた辰馬を笑ってやる。時々地球に戻ってきてくれるなら俺は構わねぇ、と。それを聞いてふ、と微笑んだこいつは明日にはここを発つだろう。

「金時に会いになら、何光年離れちょろうがわしは地球に戻って来るきー」

そう言って俺の髪をぐしゃぐしゃと掻き回すこいつは最後まで俺を誘おうとしていたが気付かないフリをした。俺は行けない、まだここで、地球であがいていたいから。




「そろそろ……寄ってくれてもいいんじゃねーの?」
「何のことアルカ?」
「ちょっとな……」
「……?」



地球でのお前の居場所、いつでも用意してるから。



end.


──────────

うわーやっちゃった(苦笑)
突発にも程がある。

辰馬忘れててごめんなさい、ぎりぎりまだ15日だよ!←

坂銀でしたが意外にも初めて書きました…?(多分)
もっとあっさりした関係だといいです。あっさりしてるけど根底は…って奴。
今回は少し坂←銀っぽくなった…?坂銀難しい、精進します。

辰馬誕生日おめでとう^^


2009.11.15 秋花

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