短編3
□ぎんたん
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※金魂篇途中前提
「誕生日かぁ…」
さっきザキに今日が旦那の誕生日だと教えられた。それなら祝ってやりたいと思ったのが本心だが、恐らく万事屋連中や下のババアでパーティーでもするのだろう。せっかくの誕生日を邪魔する程自分は餓鬼じゃない。後日会った時にでも一言言えば良いだろうか、とそう考えた途端視界の端に銀髪が見えた。
「旦那じゃねぇですかぃ」
危うく通り過ぎる所だったが、銀時が団子屋の店先で串を咥えている。
「おー何?またサボり?」
「まぁサボりって言やサボりなんですがね、一応見回りしてるつもりでさァ」
そう言いつつ隣に腰を下ろし、団子と茶をくれと背後に叫ぶ。はいよ、と気前の良い婆さんの返事が聞こえた所で横で暇そうにぼーっとしている銀時に目をやった。
「旦那ァ、今日誕生日だってザキに聞いたんですがねぃ。どうして一人で団子なんざ食ってんでさぁ?」
「あ?新八や神楽なら今頃万事屋でパーティーやってるよ」
「は?なら旦那は、」
少し悲しそうに言う銀時に尋ねるのは憚られたが、意味が理解出来ないので全部話して貰った。なんでも坂田金時とか言うロボットに銀時の居場所を奪われ、かぶき町の連中は洗脳されているようなもんなんだとか。
「沖田くんは俺が分かるみてぇで正直嬉しかったわ」
誕生日なのに。家族は偽者のロボットを祝っていて銀時には見向きもしない。そんな銀時が可哀想で、言葉が口をついて出た。
「それなら俺が祝ってやりまさぁ。旦那に気付かない餓鬼共なんかほっといて俺と居てくだせぇ」
「沖田くん……」
「今日はずっと一緒ですぜ?」
「…ありがとな」
「誕生日おめでとうございやす」
「ん、」
「銀時…好きでさぁ」
「へ!?」
こんな時に告白する自分は卑怯だろうか。でも旦那の顔が赤い。意外と脈有りだったのかもしれないなと思うときっかけをくれた金時とかいう偽者に少しだけ感謝した。
END.
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アニメが金魂なのでそれ仕様にしてみました。でも沖銀です。銀さんがとことん可哀想な金時篇ですが真選組は洗脳されてなかったと信じてます。
いつもなら土銀にするところだけど今回は沖銀。滅多に書かないから新鮮でした^^
銀さん誕生日おめでとう!
2012.10.10 秋花