頂き物
□赤く赤く色づく瞳
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もう、駄目だと思った。
愛しい銀色に会う事もなく、俺はここで死ぬのだと。
そう思った。
なのに、醜く縛られ生きながらえている。
『人質』――あいつの重荷になるくらいなら死んだ方がましだった。
しかしきっと、あいつはここに来てしまう。
誰よりも優しくて、誰よりも強いから。
お前は何もかも捨てて、ここに来てしまうのだろう。
「白夜叉が来たぞ、迎え撃て!」
白夜叉の存在が邪魔だった天人は、真選組を餌に銀時を呼び出した。
それこそ何十、何千の数相手――一騎当千である。
多勢に無勢、流石の銀時もお仕舞いだと真選組全員がそう思った。
「―――す」
銀時が、何か言った。
しかし、風にさらわれて聞こえない。
「何だ、白夜叉。怖くて声も出ないのか?」
一人の天人が、挑発するかのようにわざとらしくおどけながらそう言った。
しかし銀時は俯いたままだ。
「―――ろす」
「全員殺す」
身も毛も弥立つような、恐ろしい殺気を籠めた一言だった。
美しい緋色の瞳は、毒々しい赤に染まり鋭く光っていた。
鬼が、目覚めた。
「俺の大切なものを、返してもらう」
後に断末魔が響いた。
End.
後書き
秋花様、フリリクありがとう御座いました!
私的にも凄く美味しい内容だったので楽しく書かせて頂きました(^^)
これからも宜しくお願いします。