頂き物2
□愛しのきみは誰のもの
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朝も昼も夜も関係なく多くの人々が溢れる賑やかな町、かぶき町。
その町には知らない人は江戸中を探してもいないだろう、と言われるほど有名なバカップルがいた。
その有名なバカップルとは真選組の鬼の副長と呼ばれる土方十四郎と、万事屋といういかがわしい店を営む坂田銀時の事である。
男同士でありながらも彼らはオープンに、しかしとても初々しく、まるで初めて恋人ができた中2男子のように愛を育んでいた。
「おーい、土方ぁ!!」
「銀時」
「ハイ!これお弁当。お前マヨばっかとってんじゃねぇぞ」
「おっ、ありがとな。お前ェの作る飯旨くて愛がこもってっから食べんのが勿体ないぜ」
「ばかッ…、照れんだろ//」
「ふっ、かわいい、銀…」
「ふぁッんっ…ひじ、人が…」
「んなの今更だろうが」
「んんっ…、やっ//」
往来のど真ん中で今日もまたイチャイチャとくっついている二人。
このような事は日常茶飯事に起こるため、かぶき町の町人たちは何事もないかのように二人を生温かく見守っている。
ある一部の人間を除いて、
「くそぅ、幕府の狗めが!!俺の銀時に気安く近づきおって!」
「まったくだな。くそっ…、昔あんなにヨくしてやったのによォ、銀時ィ」
「あんなマヨネーズはそこら辺にいる女の相手してればいいんでさァ。マヨと旦那じゃレベルが違いすぎでィ」
「「まったくその通りだ/だな!」」
「「「ん?」」」
二人の様子を近くの草むらから双眼鏡を用いて覗いていた不審者三人組。
その三人組とは高杉晋助、桂小太郎、沖田総悟という宿命のライバル同士だった。
「貴様らも銀時が…」
「言っておくが俺ァ銀時の元恋人だぜ?」
「フン、元恋人は黙ってろィ」
「「「……………」」」
暫し睨み合いと沈黙が続く
その間に土方と銀時は近くの甘味処に入っていってしまった。
そのまま硬直したままの状態が続いたが、沖田の言葉によってその状況は一転した。
「………かなり不本意ですが、この三人で土方さんから旦那を奪いやせんかィ?」
「…フン、足を引っ張るなよ」
「仕方ねぇ、今回だけは協力してやる。だがアイツから銀時を奪いとったら、」
今度は三人全員ライバルだ。
高杉は楽しそうに笑った
沖田、桂も賛同したかのように黒い笑みを浮かべていた。
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