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□末の露、本の雫 二章
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「それで白夷族ってーのはどんな天人なんでィ?」


屯所に着いた銀時たちは近藤も入れて土方の部屋に入った。



「あいつら昔、私の星にも来たヨ。最初は友好的だったのにだんだん無茶なこと言い出したネ。それで……」


神楽はそこで言葉を濁した。


「それで何があったんでさァ。」

「あいつら、夜兎を攻撃して来たアル。そのせいで夜兎いっぱい死んだヨ…」

「でも夜兎は戦闘種族だろ?その夜兎ですら勝てないって言うのか?」

土方は驚いて聞いた。

「夜兎より強いネ。白夷族はどの天人にも負けないアル。」

「その白夷族が江戸に来たってことはヤバいんじゃないのか?」

「たぶん江戸を侵略しに来たヨ。また人がいっぱい死ぬアル……」


そう言って俯いた神楽の頭を優しく撫で、銀時は言った。


「でもすぐに攻撃して来るわけじゃねぇんだろ?だったらそれまでに何とかすればいいじゃねーか。」


すると今まで黙っていた近藤が口を開いた。

「取り敢えず今は様子を見よう。俺からもとっつぁんにそれとなく話しておく。」

「それしかないな……。」



そこで3人は屯所を後にした。




「大変なことになったな……」



土方の呟きが3人に聞こえることはなかった。






「江戸か……なかなかいい場所じゃないか……」


「ここがもうすぐ戦場となるのだからな……」



白夷族を乗せた車はある高層ビルへと入って行く。


そのビルの最上階、白夷族が入った部屋には3人の天導衆が既にいた。


「ようこそおいでくださった。」

「あなた方が天導衆……今、江戸の実権を握っているのはあなた方だと聞きましたが?」

「いかにも……将軍などはただの飾りにすぎぬ。」

「そうですか…それではあなた方を倒せば江戸は我々のものになるのですね?」

「な、なにを……」

「白夷族は戦闘種族の中でも最強とされる種族ですよ?あなた方が勝てるとでも?」

「う……実権を握って何をするつもりだ…」

「戦争です。江戸を惨劇の舞台にさせてもらう。」

「要するに侵略ですよ……」


そう言うと同時に白夷族は仮面を外した。

仮面の下から現れたのは銀色の髪と雪のような肌、そして赤やオレンジに染まった瞳だった。



「白、夜叉………そうか…あいつ……」

白夷族の顔を見て天導衆の1人が呟いた。


「白夜叉?白夜叉とは誰です?」

「攘夷戦争において敵味方双方から恐れられた…鬼だ……」

「ほぅ……人間とは弱い生き物だと思っていましたが………面白い……」

「どんな容姿をしているのですか?」

「白夷族だ………」

「はい?……」

「お前ら白夷族と同じ、銀髪に赤眼、色白……」


それを聞いた途端に白夷族の目が驚きに見開かれた。


「赤眼ですか……もしその白夜叉が我等の仲間なのだとしたら…………」

「是非ともお目にかかりたいですね……」


そう言った白夷族の瞳は瞳孔が開き、そして口の端に笑みを浮かべていた。







銀色の髪は光を放ち


そして人を魅了する


血に溺れた者だけが


その瞳を深紅に染める




末の露、本の雫 二章 終
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