頂き物

□悪神の彷徨
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甘い時間を過ごした後、朝になり、土方は屯所へ戻る。


それを哀しげな笑顔で見送りながら、銀時はうっすらと意思を固め始めていた。







そろそろ……


潮時だな。


此処に留まるのも。


土方を愛するのも。












もう。



人として生きるのは



おしまい…。


















「……ふ…っく……ぅ…」


小さく嗚咽が漏れた。



…涙……?

俺、泣いてるのか…?



とにかく他人には見られたくなくて、慌てて部屋の中に駆け込んだ。


「…っ…う……く……」


どうして?

何が悲しい?



どうせ身寄りのない存在だったじゃないか、俺は。


今更一人になるのが怖いのか?


「独り」になることがそんなにも恐ろしいか?



元から無一物の身だろう。


何も抱えず生きる方が、楽じゃないか。













でも。







それでも。
















今のままでいたい…









新八を、神楽を、定春を。

桂を、高杉を、坂本を。

近藤を、沖田を、山崎を。





土方を。















手放したくない…。
















「…っく……ふ……」


瞳から溢れる感情を、せき止める術なんて知らずに。






ただ。







真選組が、




俺を。


白夜叉を。















見つけないことを……





















願った…。










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