頂き物

□悪神の彷徨
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数日後……


久しぶりの非番で、万事屋を訪れた土方。



「ゆっくりしてけよ。新八と神楽はいねぇから。」

「ああ。甘えさせてもらう。」


銀時は嬉しそうに2人分の茶をくみ、土方の隣に身を寄せて座った。


「なぁ、土方。」

「…………。」


うきうきと土方に話しかける銀時だが、返事が無い。

「土方?」

「……………。」


何か考え込んでいるようだ。
眉間に皺を寄せている土方。


「……土方ってば!!」

「っ!?…な…なんだ?」


ビクッと肩を跳ねさせて、土方はやっと反応を示す。


「何考え込んでんの?仕事でなんかあった?」


「いや…別に……。」


言葉をにごす土方に、銀時は不服そうな顔をする。


「なんだよー、言えないよーな事なのか?ほら、この万事屋銀さんに言ってみな?」


おどけたように言う銀時に相反し、土方は深刻な表情だ。


「……最近山崎が報告してきたんだが…」

「うんうん。」















「白夜叉が、生きてるんだってよ。」





















え……?


銀時の目が、一瞬戸惑いに揺らぐ。


「…そ……そう。」


「俺ァ伝説で、白夜叉なんて実在しないと思うんだがな。」


「…………。」

黙りこくる銀時。




ごめん。土方。
目の前にいるよ……。




「もし尻尾が掴めたら…真選組総出で捕獲するつもりだ。もしかしたら…全滅かもしれんがな。相手が相手だけに。」


複雑な表情の土方。
俯く銀時。


ズキ…

胸が痛む。だって。




















白夜叉は……





俺……


















相当酷い顔をしていたのだろう。

土方が銀時の顔を覗き込み、心配そうに言う。



「大丈夫か?泣きそうな顔してんぞ。」


「………う…ん……。」


ゆっくりと顔を上げ、銀時はじっと土方の目を見る。


「…多分…死なない。真選組の、誰も。」

確信めいた銀時の言葉に、土方は何も返せない。

「だから、土方は心配しなくて大丈夫。」


俺が本人だから。
もう…誰も傷つけない。


「……ありがとな…銀…。」

「…うん。……トシ…」





誰もいない万事屋で、なだれ込むように2人は体を重ねた。





最期の……











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