気まぐれ小説

□chapter1 Eyes of the narcissus.
1ページ/5ページ

ミケランジェロのお店にはよくアジアンのひきいる昼飯時《ランチタイム》のメンバーが飲みに来ることがある。


酒を飲んで陽気に話しているなか
たまたまそこに居たやつが不思議なことを言い出したのだ。


『ほんとだってよ!!そこそこ名前の売れていた悪党クランがたった一人にやっつけられちまったんだよ!』

そんな、ウチのところのマスター《虐殺人形》ではあるまいし。


そんな強者がゴロゴロ居てたまるか
『はぁ?お前お酒飲みすぎて夢でもみてたんだろ』

それが合図だったように、皆信じていないように笑う。

お酒の肴になりゃあいい、と
その程度にちょいちょいと嘘の話をするのも
真実だったとしても笑い話にするのとかはここではご愛嬌だ。


だから、今回も適当なほら吹きだと
そう思っていた




―カランッ

ドアについている鈴が鳴る

しかし入ってきたやつの気配がなくて、
気配も無に入ってくるなんて危ないやつなんじゃないかと思ってドアのほうを凝視した



人が、一人。
そこに立っていた。


そいつは、危ないやつというよりは
存在しているのかしていないのか分からないようなそんな感じがした


髪の毛はセミロングぐらいまであり
色は漆黒の黒色。
服も色気など一切無いような黒で統一。
肌が露出していることは最低限ギリギリまでしか出していなくて


おいおい、ぱっと見は虐殺人形《カイネージドール》じゃねぇか。


だが、よく見てみればアジアン《虐殺人形》とはあきらかに違う。

雰囲気は似ているものの、人形のように丸々と大きく開かれている瞳は子供のようにも見て取れる。瞳の色もアジアンとは違い、黄色―・・・いや、もっと澄んだような―・・・
そう、水仙色のような―・・・・純粋な薄い色だった。


だが、いつまでもドアの前に立ち
注目されても顔色ひとつ変えないその少年は
まるで出合ったばかりのアジアンを思い出せずにはいられない。



いつまでたっても静寂が続く酒屋で
誰かが言った、狂気の人形《クレイジードール》だと。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ