□残り物には福がある
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《残り物には福がある》
真っ黒なボサボサ鬘を被れば、誰も私があんな色の髪だと分からない。
鬘の前髪で顔を隠せば、素顔も広いオデコも皆には分からない
交友関係は余り無く、勉強ばっかりしてるから『ガリ勉』
容姿(変装)の所為で『オタク』なんて、二つ名で呼ばれてるけど、
自分の本当の外見を知られるよりはマシ・・・かも?
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「ええええええ!?お、俺と春野がど、ど、同室!?!?」
黒板に書かれてある真っ白い文字を見て絶叫する男・・・トビ。
高校最後の修学旅行での部屋割りで、絶叫男トビと、時期外れに転校してきた男子・・・春野サクラは、
四人ずつの班ではなく、二人だけという一組しかない班になっていた。
其処は一人ずつ分けて、五人の班が二組となる筈なのだが・・・。
「ガリちゃんは何にも言わねェし、テメェは居眠りしてたからな」
「オイラ達が決めてやったんだよ!わざわざな!うん!」
「せ、殺生な・・・いやいや、酷いですよ〜;;」
「・・・居眠りしてる間に決まった事だ」
「えっ、でもでも!これじゃあ、余り者同士みたいじゃないですか!?」
「・・・余り者でも良いではないか。部屋を広々と使えるのだからな」
「最後のはフォロー?余り者は否定しないのにフォロー?
痛い!心が痛いッスよ!最後の修学旅行なのに!いや、春野が悪いわけじゃないって分かってる。
でも、そんなに仲良くないのに二人って、気まずくないッスか?いーやメチャクチャ気まずいに決まってる」
独り言を言いながらグスグスと情けなく泣き出す(?)トビだが、
其の場に居る悪友のデイダラ、サソリ、飛段、ペインに同情という言葉はない。
「せ、せめて、可愛い女の子とが良かった」
「その前に此処が男子校だって事、忘れるなよ?」
サソリのその一言で、益々トビが落ち込んだのは言うまでもない。