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□十五年振りの・・・
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《十五年振りの・・・》
「う〜、あと少し・・・;」
桃色の髪の少女・・・・サクラは背を伸ばし上の方にある窓を拭こうとするが、手が届かない・・・・。
「・・・・・何をしている」
此処の屋敷の主人・・・・ペインは眉間にシワを寄せながらサクラの傍まで行く。
「あっ、お兄ちゃ・・・ペイン様」
「『お兄ちゃん』で良い・・・それに、名前で呼ぶんだったら『様』付けはやめろ・・・」
「も、申し訳ありません・・・・・・・でも、私は此処で働いている身ですので」
「・・・敬語もやめろ・・・・・それに、お前は俺の・・・・・・・・・・・妹なんだ。
働く必要も無い・・・・・掃除も他の者に任せれば良い・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
そう、二人は主人とメイドという関係であり、血の繋がった正真正銘の兄妹なのだった・・・。
サクラ・・・三歳、ペイン・・・十三歳の時に両親が離婚し、二人は離れ離れになり十五年も逢っては居なかったが、
神様の悪戯・・・はたまた運命の悪戯なのか、十八歳になったサクラはメイドとして働く事になったのだが、
その主人が自分の兄だったのに心底驚いた。
それはペインも同じで、サクラの姿を見た瞬間、時が止まったかの様な感覚になりながらも心底驚いていた。
だが、ペインにとっては嬉しい出来事でもあったのだ。
何しろ、三年という短い間だったが、三歳のサクラを『妹』でもあり『一人の女』と言う大切な存在になっており、
その大切な少女が、ますます可愛くなり十五年ぶりに自分の目の前に立っているのだ。嬉しくない筈が無い・・・・・・・。