フルーツシリーズ
□ひとつぶの苺
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「うん、別にオーバーヒートしてるとかじゃないね」
…お約束といえばお約束、兄さんは熱を測っただけ。
分かってたよ、分かってたけどさぁ…。
人をドキドキさせるだけさせといて、兄さんは結局洗濯物の所に戻っていく。
「別に人間じゃないんだから、わざわざおでこ合わせる意味ないじゃん」
兄さんはオレの気持ちを知ってか知らずか、にへらっと笑って答えた。
「ちょっとやってみたくて。リンやマスターにはできないから、レンだけだよ」
………なんか、複雑。
オレだけ、って考えるとオイシイのかも知れないけど、それは恋愛対象に入らないから、って事?
何も言えなくって黙って苺を一つ頬張る。…コレはちょっと酸っぱい。
「でもアタシ達もCPUやHDが頭に入ってるから、間違いじゃないんじゃない…?」
リンの言葉に兄さんは「あ。」と言った。
今更気付いたのか…でもその間の抜けたトコも可愛く思えるんだから、オレも相当末期だと思う。
「それよりさ、兄さんも早くコッチ来て苺食べようよ」
練乳を取りに冷蔵庫に向かいながら、さりげなく呼びかけてみる。