フルーツシリーズ
□梨のひとしずく
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「私達が女のコ同士だから同じ部屋、カイトとレンが男同士だから同じ部屋ね」
マスターはサラッと自分を女の子に入れたけど、バリバリキャリアウーマンの女の子とか、聞いたことがない。敢えて無視するけど。レンはといえば、無言で抗議したそうな視線をマスターに向けていた。
「えー!ちょっとカイトは無視なのー?」
「そうですね。じゃあ、風呂の用意して、温泉にでも行きましょうか」
マスターの言葉を軽くスルーして提案すると、マスターはワザと頬を膨らませて「カイト、ヒドーイ」と言った。マスターは面白い人だ。
「やったー、温泉っ!マスター、早く行こっ!」
「ハイハイ」
「それじゃ、お兄ちゃんもレンもまた後でねー!」
はしゃぐリンが微苦笑するマスターの袖を引っ張り、反対の手を俺達にブンブン振ってから去って行った。
「俺達も行こうか」
「うん」
リンほどではないにしろ、はしゃぐだろうと思っていたレンが大人しい。
「つまらない?」
「別にそんなんじゃないよ、何でもない。行こうか、兄さん」
俺はレンが出してきた手を握って、二人で並んで部屋に向かった。