フルーツシリーズ

□梨のひとしずく
3ページ/11ページ



「私達が女のコ同士だから同じ部屋、カイトとレンが男同士だから同じ部屋ね」

マスターはサラッと自分を女の子に入れたけど、バリバリキャリアウーマンの女の子とか、聞いたことがない。敢えて無視するけど。レンはといえば、無言で抗議したそうな視線をマスターに向けていた。

「えー!ちょっとカイトは無視なのー?」

「そうですね。じゃあ、風呂の用意して、温泉にでも行きましょうか」

マスターの言葉を軽くスルーして提案すると、マスターはワザと頬を膨らませて「カイト、ヒドーイ」と言った。マスターは面白い人だ。

「やったー、温泉っ!マスター、早く行こっ!」

「ハイハイ」

「それじゃ、お兄ちゃんもレンもまた後でねー!」

はしゃぐリンが微苦笑するマスターの袖を引っ張り、反対の手を俺達にブンブン振ってから去って行った。

「俺達も行こうか」

「うん」

リンほどではないにしろ、はしゃぐだろうと思っていたレンが大人しい。

「つまらない?」

「別にそんなんじゃないよ、何でもない。行こうか、兄さん」

俺はレンが出してきた手を握って、二人で並んで部屋に向かった。


次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ