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□メイドと遊ぼう
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「なぁ跡部。頼みたいことがあるんやけど…」
忍足が何かを企むような顔してこんなことを俺様に言ってきた。
俺様にこんな頼みをするとは…
「ふ…っ」
馬鹿にしたように笑みを返し、俺様はこの頼みを仕方無く受けてやった。
*******
放課後の部活が終了し、部室にはまだ3人のレギュラー人が残り、着替えを済ませていた。
その3人とは、跡部、忍足、そして岳人だ。
「岳人、帰り家に寄っていかへん?」
「おう!いくいくー、跡部は?」
ロッカーの扉を閉めてどうやら跡部は着替え終わった様子。岳人に話しを振られ、一瞬チラッと忍足を見ると何かを悟ったようにこう言う。
「俺様は遠慮しておくぜ…また今度な岳人。」
「?…そっかーんじゃ侑士と俺のふたりかあ」
「なんや不満そうやな?」
「別にそういうわけじゃねぇけど!侑士いつも…」
「おい岳人。」
じゃれつき始めた忍足と岳人の間を通るように跡部が口を挟んだ。
「なんだ跡部…?」
「精々楽しんでくるんだな」
「お、おうっ」
今回の跡部の気品で溢れる笑みは、岳人にはにやけているようにしか見えなかった。
そしてまたふたりでアイコンタクトをとっているのを見て不信感を抱く岳人だったが、侑士と遊びたいがために約束をキャンセルすることはしなかった。
「お邪魔しまーすっ」
侑士の部屋に足を踏み入れると、毎回遊びにくる岳人は慣れているので自分の家についたような感覚で侑士の大きなベッドにダイブした。
「今日も親仕事で侑士ひとりなの?」
「せやなー今日は帰って来いひんと思うで」
「んじゃ泊まってもいい?!」
侑士の言葉を聞いて寝そべっていた上体をおこしてキラキラ目を輝かせて侑士を見つめている。
それを見た侑士は静かに微笑んでこういった。
「ええけど、条件がひとつあんねん…それができる言うなら泊めたる。」
「条件って?」
「できるんか?できないんか?条件聞くのは反則やんなあ」
いつもはなにもいわずに泊めてくれるのに、と少し不思議に思ったが、条件といっても何か雑用をやらされる係だとかそんなものだろうと思っていた。
「いーぜっ何でもやるよ!」
侑士と一晩中一緒に居られる代償なら軽いことだと思った。
しかし岳人の返事を聞いた瞬間、侑士の口元がつり上がったのがわかった。
「侑士…?」