私は彼をわんちゃんと呼ぶ

□7.入学
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わんちゃんと別れたその日に自宅に戻り荷物(と言っても大したものは何もないが)、をまとめ呪術高専の寮に行く用意を済ませその日のうちに引っ越した。
親兄弟は何とも言えない顔をしていたが私の事を腫れ物のように扱ってきていた人達といるよりは一人の方がよっぽど良い。なので、と引っ越し業者の車の後ろから高専より迎えに来てくれた伊地知さんと言う人の車で連れていってもらい辿り着いたのは2度目ましての東京郊外の森の中。

虫凄そう、なんて感想の中校門で出迎えてくれたのは一度面接で顔を会わせた学長と何度か顔を会わせた悟。


「ようこそ、歓迎するよ」


なんて誇らしげな悟に私は笑って案内された寮の一室に行き既に運びこまれた荷物を整頓してから校内を歩き回ることにした。

学校には私以外の生徒たちは出払っていると聞き「どこへ」と疑問に思えばなんでも呪いを祓いに出掛けていると。

出掛ける?祓う?なんだそれと言う私に悟は言ってなかったっけと言う顔をし私は頷いたり


「呪いは日々色んな所で発生しているんだ」


それらは人に害をなすとかなさないとか何か色々と教えてきてくれたが


「初音はまず呪術をちゃんと覚える所から始めようか!だから任務が入るまではそれを教える」


なにせ相手の術式を無効化するなんて呪術師からしたら恐怖そのものでしかない。その術式を無意識だとしても使っていたのなら呪術を覚えるのにそう時間はかからない。

なんて言われれば頷くしかない。

悟と話し終えてから改めて敷地内を歩き回っていればジャケットの中にある携帯が鳴り、そう言えば落ち着いたらメールをしなきゃとか思っていたような。相手?わんちゃんだよ。

トークアプリを開きメッセージを見れば「学校に着いた?」とあり、それに返信をしていれば陽が暮れてきたため、寮の共用スペースをチラ見し部屋に戻った。ご飯の前にちょっと横になりたい。

そうして呪術高専に入学した私は想像していた以上に忙しい一年を向かえることになる。そう、本当に、忙しい。

衣食住には困らないし呪いを祓う任務という名のお仕事でお金も稼げるが本当に大変である。

同学年の生徒や先輩たちに初めて"普通の人"のように接してもらってから私は割りとまともな人間になっていったかもしれない。ただし、私の術式が向上するに従ってわんちゃんとの交流が減ってしまったのが傷だ。

座学は真面目に受けなかった。先が読めるから。これに教師たちはすぐ諦めてくれて体術に力を入れるようにと言われたが、私は実は武術を習っていたのだ。中2で辞めたが。それでも身体は覚えていた。そして思い出してくれたようで色々と頑張っていれば私は一級呪術師として2年に進学することができた。

わんちゃんが入学する。また会える。それがとても楽しみだった。わんちゃん、元気かな。


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