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□愛のカタチ/セーフワード編
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広くて、大きなベットには天蓋が付いている。マットレスはふかふかで、天蓋から垂れるレースは剛の好みに応じて色を変える。
最近は、薄いモスグリーンがお気に入り。外部の仕事が忙しい光一とは寝る時間が異なる故か、レースの透明度を低くして室内の明かりがなるべく入らないよう調整されている。それでもベットに入るタイミングが違うだけで睡眠のタイミングは大体同じなのだ。

「光ちゃん、今日も忙しいの?」
「ん、」

先に、寝てて。剛の方へ見向きもせずパソコンのモニターを眺める光一。

「…ふぅん、」

もぞもぞとベッドに乗り上がってコーナポストに泊まるリボンを剛が外す。ベッドに身を沈めてサイドテーブルに飾られた母の写真をうっとり眺めた。えっちの時とお仕置きの時は写真と言えど見られるのは恥ずかしい。いつもこっそりと伏せるのだが。意地悪な光一はそれを見つけるとニヤリと笑ってわざとまた立てかけるのだ。

一体いつになったら同じベットで眠れるのか。剛が深く息を吐いた。

同じベットで、はかなり語弊がある。同じベットでは基本寝ているのだ。朝起きたら剛は大体光一に抱かれているから。でも、いつものようなセックスはもう2週間近くお預けなのだ。それに伴ってからか躾の時間もそんなにない。そろそろ、寂しさの限界だ。もぞもぞと剛が身体を丸めた布団の中で、股の間に両手を差し込む。無意識に下着の中へ手を忍ばし、ふにふにとつるつるの陰部を撫でて指の先で擽る。

「……っん、…ふ、」

気持ちいい…。

ここの毛を剃るのは光一の役目だ。だができない時もある。そう言う時は剛自らお手入れをするのだ。もし許可なく伸ばしてしまったらそれこそ大変な目に遭う。以前、お手入れを怠って受けた罰はかなりのものだった。陰茎と陰嚢をたっぷり時間をかけていたぶられ、酷く虐め抜かれた。
流石の剛も最後の方は全てを曝け出して咽び泣き、許しを請うた。結局、セーフワードを言わざるを得なかった。最近は忙しくて触れてもらえないが。
基本的にここは毎晩光一がチェックしている。少しでも、剃り残しがあってはいけないのだ。

もちろん、光一のペニスを受け入れるアナルも同じだ。

ここも、少しでも剃り残しがあると容赦なく尻を打たれる。おまけに罰を受ける時の恥ずかしい挨拶もご作法として叩き込まれた。この身体が誰のものか時間をかけてしっかりと教え込まれた。

それを思い出して剛のそこがむくりと膨らむ。先端からとろりと溢れた蜜を指の先でトントンしながらバレないようにひっそりと深い息を吐き出した。

「何してんの?」

不意に背後から聞こえた声に、ぞくっと背筋が震えた。慌てて振り向いたら天蓋の、カーテンの間から入り込んできた光一が腕を組んで剛を見下ろす。

「…っ、ぁ、」

なにも…っ、慌てて剛が布団の中から両手の指先を出す。じっと見詰める光一の視線から目を逸らしながら口元をもごつかせていたら、ベットに乗り上がった光一が布団を捲った。

「…あ、っ、…っ、」
「嘘か?」

見透かされて直ぐに謝るが、もう遅い。
あれだけ嘘は許さない、そう躾けて、いたぶられても剛の咄嗟に嘘つく癖は変わらない。それも直ぐにバレるのだ。なんて悪い子なのか。付いても付かなくても、お仕置きされるなら最初から素直に全てを曝け出せばいいのに。内心でため息を吐いた光一が剛の身体をうつ伏せに反転する。するりと下着を尻の付け根まで引き下ろす。ぷりん、と現れた白くて美しい尻たぶ。

「嘘を吐いた仕置きは、あとでたっぷりしてやる。」
「あ、…っ、ん、あ、とで…っ、」

背を逸らして剛が鳴く。

剛の耳元で唇を寄せた光一がひっそりと囁く。母に、見られながらあとで罰を受けような?途端に剛の顔が熱くなる。ぺちぺちと尻たぶを叩くように撫でられて思い出す痛み。全身が震えて、サイドテーブルに立てかけた母の写真から目を逸らす。

「それとも、今されたいか?」
「ん、ふ、…っ、や、ぁ…っ、」

枕に顔を擦り付けて剛が震える。
光一が尻の割れ目に指先を差し込む。ふにふにと、その隙間から剛の性器を突いた。

「い、ま…っ、する、お仕置きは…っ?」
「決まってるやろ?俺の許可なく、ここ触ってた罰、」

今度はぐいっと肩を押し戻して、剛の身体を仰向けにする。足首を掴んで足を広げさせると既に蜜をこぼして泣いてる性器。

悪い子やな。光一が呟く。剛の首輪をひと撫でしたあとパチンっと音を立ててリードが繋がった。

「…っ、え、こ、ぉちゃ…っ、」

瞳を濡らした剛が肩を震わす。


ーーーー


も、やぁ…っ。

剛の震える声が背後で響く。
振り向いた、光一がリードを引いて近くのベンチに腰掛けた。

「…なにが?」
「はずい…、こんなの…っ、」

終始周りを気にしながら剛が両腕を身体に巻きつける。こんな時間に…、こんなところで…、ボソッと呟いたあとは剛を見上げる光一の視線から逃げるようにしゃがみ込む。

「こら、」

低い声が響いて剛の肩が震える。

「…っ、ふ、…や、…って、…ひとに…見られたら…、」

こんな変態な姿。
剛がホロリと涙を零した。光一が口の端を挙げる。首輪に繋がったリードを引っ張ればリードの根元にぶら下がった鈴がチリチリと音を立てた。
猫みたいやな、蹲るフォルムを見下ろして光一がぼんやりと思う。アナルに猫の尻尾を模したビーズでも挿れてやればよかった、もじもじと腰をくねらせて感じながら歩く剛もさぞ可愛らしいことだろう。

「こ、ちゃぁん…ほんまに、…も、や、ぁ…っ、」

しくしくと涙を溢す。
こんな裸同然の格好で、まさか外に出されるなんて、それも公園の中を歩かされるなんて思ってもいなかった。
剛が震えて、首を振る。

俯いて涙を流したら、ぼやけた視界に引っ張られていたリードを投げ置かれた。ハッとして顔を上げたら、光一の刺すような視線。

ぞくりと、背筋が粟立つ。

一瞬にして恐怖が空気を支配して、剛が何かを言いかけようと口を開いたが、光一がため息を吐いて制止する。何かを言いかけた光一が口を開いたあともう一度噤む。そのまま立ち上がって何も言わずに背を向けた。

「……ぇ、…、こ、…、」

ちゃん、呼びかけた声は蚊が鳴くほど小さい。去っていく後ろ姿を見て剛が焦る。立ち上がりたいけれど、それができない。
恥ずかしいし、怖いし。
もう、いいって、まるで口癖のように吐き捨てられて、去っていく光一を何度と見てきた。だから、光一からの、もういいはトラウマなのだ。それを知ってるから、光一もあの日以降二度とその言葉は言わなくなった。

でも、躾に必要な厳しさは未だに捨てていない。

居なくなった背中を探して剛が、叫ぶ。

「や、…っ!こ、ちゃん、っ!置いてかないで…っ、」

叫んでも光一の姿はもう見えない。
こんな所で、一人取り残されたら剛がゾッとする。誰か来て、見られたら…そう思うと身体が震え始めた。
こんなえっちな格好で、誘ってるなんて思われたら、それこそ。立ち上がった剛が改めて自分の格好を見下ろした。

紫の首輪に繋がれた長いリード。

ぷるぷると揺れる性器に纏わりついたラバー素材の拘束具。尿道の入り口をプラグで嵌め込まれ容易くはいくことも、排泄さえも許されない。じんじんと熱を持ったそこが震える。

ぶるりっと妙な震えが走ったあとは、膀胱を圧迫する違和感。尿意を催して剛が震える。
ぴくぴくと性器が震え始めた。

……っ、といれ…、おしっこ…。

太腿を擦り合わせたあと剛がもじついてまたしゃがみ込む。周りを探して視線を向ける。でも、光一はどこにもいなのだ。
我慢……っ。
ぶわっと涙腺が緩んだところで、隣合わせの箒木が不自然に揺れた。ぎくっと肩を竦ませ息を止める。そろっと動くそれをじっと見つめたら草の間から顔を覗かせた猫。剛が息を呑んで深く吐き出す。
遠くで聞こえる車の音にもまた、ぞわぞわと震え出して、全身を両手で抱きしめながらゆっくりと立ち上がった。

「こ、ちゃぁん…っ、」

怖くて、不安なのだ。トイレも行きたい。
公園の入り口も、出口も分からない。見慣れない遊歩道。限りなく端へ寄って歩みを進める。広間に出たら、ベンチに座る人影を見つけて、剛が息を止めた。
慌ててしゃがみ込んで、その場所を注視する。見慣れたシルエットに安堵したあとは勢いよく駆け出した。

「…っ、こ、ちゃぁん…っ、」

光一の側に寄って、座る姿を見下ろしたらまたぽろりと涙が溢れる。

「ん、ごめん…なさ…っ」

身体を自ら抱きしめながら剛が謝る。
立ち上がった光一が首輪から下がるリードを撫でてもう一度握り直した。

「どうすんの?」
「…っ、このまま…、お散歩…します…、」

ぐすぐすと鼻を啜って、剛が俯く。足をもじつかせて満足そうに微笑んだ光一へ一歩近付いた。くるりと踵を返した光一の腕を掴んで剛が縋る。

「ま、て…っ、こ、ちゃん…、」
「まだ何かある?」
「ちが、…おさんぽ、ちゃんとするから…っ、」

あの…っ、言葉を区切って剛がくねくねと動く。振り向いた光一が、汗を滲ます剛の額を撫でる。

「なに?」
「…っ、ふ、こ、ちゃん…っ、ぼ、く…っ、ん、んんっ、おねがい…っ、」

微笑んだ光一が意地悪く剛の腹を擽る。
何を?光一が耳元で囁きながら、臍の直ぐ下を押す。

「ん、…っ、や、ま、…っ、て…、お、…っ、ぉ…っ、」
「ほら、言え。剛、」

ぶんぶんと首を振って剛が悶える。
ぶるっとまた身体が震えて、尿意が限界を迎える。必死に耐えながら剛が光一の袖を掴む。外して欲しい、尿道を塞ぐプラグを引き抜いて、解放されたい。光一に擦り寄って、聳り立つ性器を押し当てる。

「こら、」
「ひ…っ、ぅ、あ、あぁ…っ、や、」

ぐちっと、プラグの先端を摘まれて尿道の内側を刺激するバーの凹凸に思わず背を逸らす。

「や、…っ、おし、っこ…、おしっこ、したぃ、…れす…っ」

抜いて、剛が涙の粒を散らした。
光一がその涙に舌を乗せながら摘んだプラグをゆっくりと抜いたり、押したり繰り返す。
僅かに引き抜かれて、すぐさまぶちゅっと押し込まれたバーの先端が尿道を通して前立腺を刺激する。それがたまらなく膀胱に来るのだ。

剛が震えながらまた、叫ぶ。

「ん、…っもれちゃ、う、漏れちゃう…っ、からぁ…っ、」
「だめ、漏らすな、絶対。」

ずるっと優しく、プラグを引き上げて剛が何度も首を振る。抜いて欲しい、おしっこがしたい、けれど漏らしてはいけない、だから抜いてほしく無い。
どうしようもない感情だ。
少しだけ引き抜いたプラグをくるりと回して光一が剛の尻を鷲掴む。

「剛、ここで打たれたいか?」
「…っひ、…っ、」

叫んだ剛が目を見開く。
パァンっと静寂した公園内に乾いた音が響いて、剛がキツく目を閉じた。何度も首を振る。一発平手を振り下ろされた尻がジンジンと痛む。

「だ…っめ、や、ぁ、…お尻のお仕置きは、帰ってから…っ、」
「じゃぁ、漏らすな、俺が良いって言うまで我慢しろ、」

ずるっとまたプラグをゆっくりと引き抜く。
その刺激に剛の脳が悲鳴を上げる。我慢しなきゃ…っ、そう思うのに尿意を刺激される感覚に身震いを繰り返した。返事を忘れた、剛の尻を光一がまた撫でる。
剛が、ハッとして返事した時には2発目の平手が尻に振り下ろされた。

「漏らしたら、そこのベンチに手を付いて尻を出せ、ここで仕置きだ。」

目の前がチカチカして、数秒返事が遅れた剛の顎を光一が掴む。

「こら、返事は?」
「、ん、…っ、はぁ、ぃ…っ、」

良い子、囁いて光一が剛の身体を反転した。背後から片方脚を腕に引っ掛けて持ち上げるともう、自分の力では立っていられない剛が光一へ体重を預ける。支える腕を握りしめて、ひっ、ひっ、と息を引き攣らせた。

ちゅぽちゅぽっと音を立てて柔く振動を繰り返したあとは殊更にゆっくりとプラグを引き上げる。

「っん、ん、ぁあぁっ、…っ、ふ、ぁ、」

足が震える、立っていられない。
剛が光一に寄りかかって下腹部に力を入れる。目の前が真っ白に弾けて、それと同時にずるりと勢いよくプラグ引き抜かれた。

「…っ、いゃ、ぁーーー……っ、」

剛が叫んで、それと同時にぷしゃりと蜜を飛ばす。弾けるようにぷしゅっと巻き散らせた体液。耐えろって何度も言われた。叱られる…っ、スパンキングのお仕置きを思い出して剛が涙を溢した。

「ごめんなさ、…っ、ごめんなさい…っ、」

しょろしょろと垂れ流す感覚に身震いしながら剛が謝る。出し切った性器を光一が優しく包み込んだら、その亀頭をぐりぐりとまた指先で刺激する。堪らず、射精の波が訪れる。

「も、…や、だ、…やだぁ…っ、こ、ちゃあん…っ、たすけ、て…、」
「嫌なら、セーフワード言え、」

ぎゅっと陰嚢を握られて剛が目を見開く。
ひんひんと涙と涎を垂らしても、なおその可愛らしいに光一がうっとりした。内側に燻る加虐心に火が付く。ごくりと喉を鳴らして、うっすらと浮かべた笑みはサディストそのものだ。堪らない、益々興奮を煽る剛のこの表情は。剛の全部を作り替えたい。心も身体も全て、光一のものだから。びっくんびくんと何度も剛の身体が痙攣する。

「せーふ、…わ、ど…、」

ぼんやりと最初に決めたセーフワードを思い出しながら剛が何度も首を振った。ひんひんと咽び泣きながらその腕に身体を預ける。

「や…っ、おしおき、…してくらさ、い…っ、」

剛は頑なだ。
絶対にセーフワードは言わない。あんだけ躾けられても尚、耐えようとするのだ。

「剛、」

光一の低くて甘い声が剛の名前を呼ぶ。言いなさい、命令される口調に剛がぐすっと鼻を啜った。

「ん…っ、ふ、ぁ、っ……っ、」

光一がするりと剛の手を握る、背後から抱きしめたまま、もう一度セーフワード、と囁く。

「…っふ、ぁ、…っ、あ、…“あまい、の…っ食べたい”、れす…っ」

観念したように剛が呟く。
光一が、口の端を上げて剛の身体を抱き上げた。そう、これもまた立派な躾なのだ。

「ん、ええ子、」
「…っ、ふ、こ、ちゃぁん、」

嫌いにならないで、剛が何度も呟いて光一にしがみ付く。嫌いになる筈も無いが、剛は光一に捨てられるのが怖くてどうしようもないのだ。セーフワード一つで興が削がれたら、そう思うと怖くて堪らない。
鼻を啜って、呼吸を上げながら何度も謝る。宥めすかすように光一がその背を撫でて、歩き始めた。いい子、何度も囁いて剛を安心させる。

ーーーowa...
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