没庫(編集)
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「見せただろ?」
「ひ、ぁ…っん、ぁ…ちが…っ、」
腫れたお尻を光一がむぎゅっと鷲掴む。
数日前のスパンキングのお仕置は、未だに痣となって剛を苦しめる。今日の社交会でも座ることの出来なかったお尻。
車の中で剛を膝に乗せながら光一が、スリッと今度はお尻を撫でた。さっき、他のボトムに尻を見せていたのを見逃すはずのない光一が車に乗り込むなり剛を叱った。
光一がいかに怖いのか、ただそれを伝えるためだったのだと、必死に弁明を繰り返してもその言葉が光一に刺さるはずもない。
「俺の質問に答えろ、」
「ひ、ぅ…ぁ、…っ、」
ごめんなさい…、肩を震わせて剛が俯く。
「触らせたのか?」
ふるふると剛が首を振って光一のスーツを握りしめた。
「見せただけ?」
「ん、…っ、は、ぃ…、」
ふぅ、と吐いたため息に剛が俯く。
また、力強くお尻を掴まれて、ヒリヒリとした痛みが肌を駆け抜ける。
「俺の言いつけは?」
「…っ、ふ、…ごめんな、…さぃ…っ、」
「剛、答えろ、」
ぶるりと、剛の身体が震え上がる。
「…っ、あ、の、…光ちゃん以外の人に身体を見せるのは禁止…、」
「ん、」
さらに続きを促す無言の主張。
「触らせるのも…禁止、」
知らない人と二人きりなるのも禁止。
声をかけられて付いて行くのも禁止。
連絡先の交換も禁止。
そのほかにも禁止事項はいくつもある。
剛が一つ一つ、躾けられた内容を挙げていく。光一の眉根がクッと寄ったのを見落とさなかった剛がひっ、と息を呑んだ。
「禁止て分かってて、見せたんか?」
「…、見せた方が早いって思ったから…、」
むぅ、と突き出る唇を指先で擽りながら光一が脚を組んだ。膝に座っていた剛が少しだけ尻を上げて光一を見下ろす。
困ったようなその眼差しにまた、光一が深く息を吐いた。
「どっちのお仕置きがいい?」
ここ、柔らかい声音でつぶやいたあと剛の中心を指先で突く。
「ぐずぐずになるまで苛められんのと、お尻、コームで叩かれるの、どちらがいいか選べ、」
迫られた二択の仕置きに剛が息を呑んだ。
どちらも、怖くてどちらも辛い。
ほろりと涙をこぼして剛が鼻を啜る。
「ん…っ、ぅ………、っ、お、……おしり、………たたいてくだ、さい…、」
不意に蘇る尿道責めの記憶。
痛みに耐える方がまだマシだ、と何度も経験している剛が首を振ってスパンキングを選ぶ。
尿道を苛められるのは本当にどうにもならない。あの快楽と恐怖に身震いをして光一を見たらニヤリと口の端を上げた。
ーーーー
「…っ、ひ、ぁ、…っ、あぁ…っ、も、ゆ、して…っ、」
首を振って剛が泣きじゃくる。
背後で纏められた手枷が音を立て、腿と脛をベルトで繋がれたまま、ぐちゅりと音を立てたプラグが尿道を擦り上げた。
「ん、ひぃ…っ、あっあぁ、…っ、あ、」
目の前が震える。
視界が霞む。
剛が首を振って息を止める。また奥へと押し込まれる細いシリコンのプラグ。いつものように凹凸の素材ではなく、今回光一が用意した細いバーは螺旋のような凹凸が刻まれて、挿し込めばそれがくるくると回転しながら尿道の内側を擦り、頭頂の輪っかを引けば反時計回りに回転しながら抜き出る。
今まで、感じたことのない刺激に剛が悶えて唸る。悪い子…れす…、ごめんなさい…っ。必死に繰り返しながら涙を飛ばす。
一切の妥協を許さない光一が剛の首筋に噛み付きながら、またプラグの抜き挿しを繰り返す。
部屋に着くなり身体を固定されながら剛がゾッとした。お尻を、…お尻を叩いて下さい、と必死に懇願したのにも関わらず、その選択を光一は許さなかった。
「ひ、ぅ、あっぅ、ぁあぁ…っあ、あぁーーー…っ!!!」
ずちゅずちゅと今度は尿道の先端でプラグを回しながら小刻みに揺らす。ぷしゅぷしゅっと音を立ててその隙間から泡立った体液が溢れる。それでも容赦のない光一の指先。
「ん、はぁっああぁん…っ、こわれちゃ、…っ、ぅ、お、ちんち、…っ、壊れちゃぅ…っ、」
許してくらさい…っ、懇願する剛の顎を掴んで振り向かせると光一がくすりと微笑んだ。
「必要か?お前に、これは必要なのか?」
今度はぐにっと性器のくびれをつまむ。
摘みながらプラグを指に挟んで器用に動かす。ひ…っ、と息を呑んだ剛が光一の首元に顔を埋めた。ふるふる、と首を振って、息を引き攣らせる。
「…っ、ひ、ん…っ、ひつよ…、ないれす…っ、」
「そうだろ、お前に必要なのはここだけだろ?」
光一がゆっくりの双丘の間に指を忍ばせた。つぷっと指先で擽りながら剛の耳たぶを食む。そのたび、剛が何度も頷いて、そう、れす…、と叫ぶ。
「なんで、ここだけでええの?」
「ん、はぁん…っあぁ、ぁ、ぁ、あ、ぁ、…っ、こ、ちゃんの、おちんちん、挿れてもらうところらから…っ、」
舌ったらずな甘えた声にまた光一がくすりと笑う。
「そうだろ?お前はここでいけるんだろ?」
「…っ、ぁ、あぁ、…ぅ、そ、う、れす…っ、」
剛の背筋が仰反る。
「じゃ、どうすんの?」
「ん、ぁっあぁ、あ、ぁ、…っ、こわ、してくらさい…っ、つよしの、おちんちん、壊してくらさ…、い…っ、」
最後の方は言葉にもならず、剛が叫ぶ。
光一が指の動きを再開して、目の前が真っ白に弾けた。ぶるっと剛の身体が大きく痙攣した後、ぐるっと黒目が瞼の裏に隠れる。
飛びかける意識に気が付いた光一が、こら、と囁いて抜き挿しを繰り返す速度を早めた。
「ひ、ぁっあぁ、…っあぁ、あ、ぁ、あ…っ、」
またすぐに引き戻される意識。
頭の中が擦り切れる。だめになる。
剛が泣いて、喘ぐ。
ずぷぷっとプラグが粘膜を纏い内側を擦って回転するたびに螺旋状に彫り込まれたプラグが尿道を抉った。
漏らしたくても漏らせない、いきたくてもいけない快楽に抗えるはずもなく剛の身体が痙攣を繰り返す。
壊れる…っ。
そう思ったと同時にふっ、と視界が霞んだ。引き戻された意識を留めることが出来ず、そのまま視界が暗くなった。
ーーーー
ハッとして目を覚ました剛の顔から血の気が引く。しまった…、躾の最中に意識を飛ばす事ほど重罪な事はない。慌てて起き上がろうにも、じくっとした疼痛が下腹部を走った。
身体を丸めて横に転がりながらそっと自分の中心に触れてみる。
「……、だいじょぉ、ぶ…、ある…、」
毎回、尿道のお仕置きを受けるたびに、今度こそ本気で壊されるんじゃないかと恐怖に陥るのだ。もう、ここまで来たら壊されてしまってもいいのかもしれない。ぼんやりと剛が考える。
「起きたか?」
背後で聞こえた声にビクッと肩を震わせて視線を向ける。光一がのそっとベッドに乗り上がって剛の頬を撫でた。
「ん…ぁ、ごめん、なさ…っ、」
また、お仕置きの続きを…、起き上がろうとした剛の肩を押さえて光一が足首を掴んだ。
「…痛いところは?」
少し強引に脚を広げられて剛が小さく息を吐いた。何も言わず首を振るから光一が、やんわりと性器を握る。
「あ、…っ、ん…っ、」
人差し指の先がくにくにと、先端を押しつぶしながら感じ入る剛の顔を覗き込む。ぐりぐりと竿を擦って、時々摘む。陰嚢まで丁寧に揉みしだくと下腹部が疼き始めた。
「あ、…っ、あぁ、…っ、ん、ら、め…っ、」
「いいよ、」
出しなさい、と光一が殊更に柔く性器を上下に擦り始めた。のたうち回る射精の勢いが限界を迎えて耐えきれず、叫びながら吐精を迎える。
「痛むか?」
「ん…っ、ぅ、いたく、なぃ…っ、」
ほろっと剛が涙を溢す。
その後も数回性器を擦られて、立て続けに迎える射精。そのあと、光一の手のひらが剛の下腹部を押した。ぐっぐっと何度か押して撫でられてを繰り返す。
「あ、…っや、…だ、め…っ、こ、ちゃ…っ、漏れちゃ…ぅ…、」
剛がお腹に力を入れて耐えるが、光一の手は動きを止めない。このまま漏らしたら、お仕置きされちゃう…、必死に耐える剛に光一がキスをした。
「ん、いいから。漏らせ、」
「ら、め…らめ…っんぁ、お仕置き…っ、」
「しないから、漏らすところ見せろ、」
また降ってくる優しいキス。
はむっと唇に噛み付いて剛の身体が震えた。しよろっとお腹の皮膚を伝う生ぬるい感触。しょろしょろ、と吐き出されていく感覚が抜けず、剛が光一の腕にしがみ付いた。
「痛いところは?」
「ん、ぁ…っ、ん、…っ、な、い…っ、」
出し切ってスッキリした後は急に襲ってくる恥ずかしさ。恥ずかしくなって顔を背ける剛に光一がまたキスをした。身体を抱き上げられて剛のぼんやりした思考が動き始める。
「こ、ちゃぁん…、」
「風呂、行くぞ、」
「おふろ……、」
剛を抱えたまま、光一がデスクの電話を取った。きっと相手はあのサングラスなのだろう、汚したベッドの取り替えを依頼した後は剛を抱いて、そのまま浴室へ向かう。
ぐったりしたまま剛が光一に身を預ける。この後はとろとろに甘やかされるえっちの時間だ。
ーーーowari