小説 短編集.10

□“コウイチくん”*
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「な、…ちょっと、なによ、」

目の前にある、“コウイチくん”をじっと見ていたらあまりジロジロ見るな、と。
光一がソワソワし出す。

「見るな、って、見せてきてるくせに、」
「んな、…お前が、…あれやろ、」

チュッチュするって言うからとかなんとかぶちぶちしている。
そうだけど。
口でさせてっておねだりしたのはぼくだけど。先端に口付けて、れろれろ舐めていたらふ、と相変わらず大きいな、なんて。

そんなことを思っていた。

そしたらつい、まじまじ見つめてしまった。

「んぅ、大きいなって、」
「ふは、そら、そうでしょうよ。剛くんを満足させてますんで、」

ヘラっと笑って、ペニスに筋が立つ。
指先で撫でながら、手のひらで先端を捏ねる。眉間に皺を寄せた光一が、僅かに唸った。

この人の“コウイチくん”は前からこんなに大きかっただろうか?
手のひらで握って絞るように擦る。

「…ぅ、あ〜…、気持ちいい…、」

唸ったあと、またぴゅるっとカウパーで溢れる。また、じっくり見つめる。
大きいなぁ。
若い頃どうだったかなぁ。指先で突いたり、撫でたりしてみる。
もっと小さかったかなぁ…?
んぅ〜、ポテンシャルはあったっけ?

「ちょ、と…、なにしてんのよ、」
「んふ、んーん、思い出しうっとり、」
「ふは、なによ、それ、」

ペニスを撫でて、握るぼくの手を光一が撫でる。物足りなそうだ。
口でしてって、ねだりながらぼくの顎を擽る。

「ん、…っ、」

ご希望通りそのまま、ぱくりと口の中に収める。先端の皮の内側に舌を押し込んで舐め上げたらまた、びゅるっと溢れる。見上げたら、気持ちよさそうに目を閉じた。その姿が嬉しいから、もっとあむあむしてあげる。

未成年の時はもうちょい可愛かったかなぁ。

もう一度唇を離して今度は根元に口付ける。鼻から大きく息を吸い込む。ここが一番光一の香りが強い。

「ん、…っふ、…すき、光ちゃんの匂い、」
「ん?」

食むっと陰嚢を咥えたら、皮が張ってパンパンに膨らんだ。チロチロ舐めたらまた深く息を吐く声が聞こえた。

「つよし、…喉の、奥でして、」
「んふ、ええよお…、」

舌の腹で竿を撫でつつ、先端から縦に飲み込んだら光一がぼくの髪をくしゃりと掴んだ。撫でるように指先絡める。

かくかくと腰が揺れて。

頬の内側で何度も擦る。根元まで呑み込んだらまた、唸る声が聞こえた。

「ぅ…っあ…ぅ、…っ、」
「ん、んむ…っん、ふ、…っ、」

喉の後壁で何度も擦る。
ぐぽぐぽと音を立てて、上下に唇で扱いたらぶるっと大きく光一の腰が震えた。それと同時に喉の奥に流し込まれるあつい熱。

びゅぅ、びゅくう、と濃度の高い粘膜が口の中で暴れる。溺れそうになって思わず唇を外す。でも、吐き出さない。
絶対に。

「ん、…む、ん…っ、」

もぐもぐと噛み合わせて攪拌した後はごくりと飲み込む。舌の上に残った精子を見せたら、嬉しそうに光一が笑った。

「ん、剛、キスしよ、」
「きすぅ?」

光一の上に跨って乗り上がる。
舌を出して唇に近付いたらぱくりと食べられた。ちゅる、ちゅると舌が絡み合って吸いつかれる感覚にお腹の奥が震える。

唇を離したあとはまたずるずると下にさがる。上を向くペニスの先に数回口付け。また、じっと眺める。

「ん、…っ、また、」

不服そうに光一がつぶやく。

「んぅ…、もう少し、」

何がそんなにいいの?とか。
ほんまに恥ずかしいって、と。なんだかそわそわしている模様。
でも、気にしない。
指の先で突いて、浮き出た筋を撫でる。びくびく、どくどく。
握ったら熱を持ったそこが限界そうなのが分かる。さっき出したけど、また陰嚢が膨らんで張ってきた。手のひらでやんわりと握ったらまた光一が唸る。

思えば、確かに初めての日から大きかった印象はあるな。
まだ付き合う前とか、シャワー室ですれ違いざま見たり、人伝に聞いたりってのはあったけど。実際、えっちで見た時はびっくりした気がする。

こんなん、こんな大きいの入らへんからって。本気で思ったけど。

今じゃすっかり形も熱も覚えてしまった。毎日、毎夜、とても大切に解されて、慣らされた結果かな。

「やっぱりちょっと、大きくなったかなぁ、」

あの時から比べると。

「んは、何を言うてんねん、」

変わらんから。
光一がむぅっと唇を突き出す。焦らされてるのが相当不服なのか。我慢しなくていいって言うてんのに。
堪えてる。

仕方なしまた口付けて、くびれの辺りを舌でなぞる。

やっぱり、前より少し大きくなった気がする。口でする時が一番分かる。
興奮してる時の張り詰め方も全然ちがうからな。あとは、舞台明け。
我慢した後の“コウイチくん”は結構厄介だ。

ここまで考えてピンとくる。
そうか、頻度か。

なるほどね。
そろそろ限界そうに、光一が甘えてきた。
起き上がって跨ると嬉しそうにぼくの腰を掴む。

ーーーfinーーー
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