小説 短編集.10

□自分磨き。*
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ふと思い出す剛の痴態。

旅立つ前日の夜は激しかった。
かなり燃えに燃えた。マグマのように沸騰した夜だった。


ーーーー


「ん、あ、っ、…っ、ふ、こういち…っ、」

さっきから何度目だ?
こうして抱き着かれたまま甘い声で名前を呼ばれるのは。

「ふ、ふは、…どうした?気持ちいいの?」
「ん、…っ、すご、…っ、」

怖いくらい。
呟いた剛が甘えて、寄り添ってくる。

「ふふ、なにが?怖い?」
「ん、…好きすぎて…、離れられなくなったらどうしよ…、」

むぅっと唇がぷすぷすして。
こう言うこと、真剣に言うから、困る。わざわざ俺に会いに来たのだから。
泊まりに行ってもいい?って連絡が来た時はちょっと驚いた。

滅多なことでは会いにこないけど、話を聞いたら少し早いけど明日から地方へ前乗りだとか。

「ふは、大丈夫やって、ん…っ、明日、何時?」
「…っん、ぁ…っ、ゆ、うがた…っ、」

ここから、行ってもいい?って瞳が訴えてくる。つい口元が歪む。

「荷物持ってきたんやろ?」
「ん、…っ、」
「…っふ、…ぅ、俺、っ、居ないけど…っ、」

良いの?顔を覗き込んだら、それでも良いらしい。居なくても良い、夕方までここにいるって剛が微笑む。

きっとそのための、あの大荷物なのだ。
帰る気なんてさらさらなかった筈だ。
帝劇くる?
前髪を掻き上げて瞳を覗き込んだら、そこは遠慮するのかふるふる首を動かす。
ここは頑ななんだよな。 

上体を起こして膝先を掴む。
グッと押し上げる。
ぐちっと音が更に響いて繋がったそこが丸見えだ。ゆっくり前後に腰を動かしたら絡み合った粘膜が一層激しく音を立てる。
精子が泡立って流れ落ちる。

じゅぶっと。
ぶちゅ、ぶちゅっと空気を含んだ音が響く。根元まで押し付けて掻き回したら剛が爪先までピンッと張って背を逸らす。

「ん、はぁん…っ、あぁ、ん…っ、」
「ふふ、ここ、好き?」

殊更にゆっくりと1番敏感に感じるところをペニスの先でぐりぐりと突く。襞を擦り上げて腸の入り口をこじ開けたらひっ、と叫んだあと身体がこわばった。
ほろほろ涙を零して指を咥える。

「かぁいいな、」

膝裏に腕を通して剛の腰を支える。
そのままぐっ、ぐっと数回腰を動かして狭いカーブを探す。ずくずくっと突き上げたら、自ら咥えていた指に歯を立てた。感じ入って気持ちよさそうなのに、どこか苦しそうで、剛の手を取って指を絡める。

にゅるっとカーブの先にペニスを押し込んだら剛が目を見開いた。びっくんと腹の1番奥が震えてがくがくと剛の身体が痙攣を繰り返す。

「ん、あ、あぁん…っ、こ、ちゃ…っ、らめ…っ、あ、ん…っ、や、ぁ…っ、あ、かん…っ、おく、…っ、」

ひんひん啼いて甘えてくる仕草の可愛さたるや。堪らん。またそこで留まってわざとペニスで襞を押し上げる。

「気持ちええやろ?これ、」
「んぁ、あぁん…っ、おか、ひ…っなる…っ、」

こじ開けた入口のさらに奥をトントンて軽く叩いてやると何度も弓形に剛の身体が跳ねる。
キツいくらい孔が締まって、痛いくらいきゅうきゅうに締め付けてくる。
剛の中は堪らなくあったかい。

「ここのさ、…っ、1番奥に、出したらどうなる?」

腰を密着させて内側を掻き回す。
ひんっと、叫んだ剛が俺の背中に手を回した。ぐぐっと爪を当てて掴んでくる。その痛みまで愛おしくて堪らないのだ。

「ほら、剛、…っ、おしえて、」

酷く激しく腰を揺さぶって、こっちの理性が飛びかける。踏みとどまって腰の動きを緩める。絡み合って何度も注揷を繰り返す。

ベットが軋む。
唸りと喘ぎが折り重なってまた何度も求め合う。

「…っ、は、ぁん…っ、あか、ちゃ…っ、ん…、赤ちゃん、れきちゃう…っ、」

泣きながら剛が首を振る。

「そうだね、俺と剛の子だ、きっと可愛い、」

注揷のスピードを上げて剛の腰を抱く。肌が激しくぶつかり、理性を手放す。そのまま腰を押し付けたら剛が俺の腰に脚を絡めた。
ぶるりと腰が震えた。勢いよく射精。びゅくぅ、びゅくぅと放出されていく種が剛の1番奥を泳ぐ。

「ん、ひぃ…っ、あぁ、っ、…っ、ーーーー………っ、」

それでも尚、俺の腰は止まらない。
射精の勢いもそのままに何度も腰を打ち付けた。見開いた剛の瞳が焦点を失って、蕩けている。

それも堪らなく可愛いのだ。
可愛い剛。

上体を起こしてドロドロの下腹部を撫でる。びくっと剛の身体が震えた。性器を握ったらぴゅるぴゅると蜜が飛ぶ。少しだけ腰をひいたら狭い襞が吸い付いてきた。離れたがらなくて、でも少し強引にカーブからペニスを抜くと内側でちゅぽん、とやらしい音が繋がったところから響く。

そのまま数度腰を揺らす。

「ん、ぁ…っ、あぁん…っ、こういち…、のおちんちん…っまだ、おっき…、」
「うん、もう少し頑張れる?」
「、ん、…っ、あ、ぁ…ぁ、がんばるぅ…っ、」

剛の足首を掴んだら指を咥えた剛が優しくしてって。

また精巣が熱くなる。


ーーーー


可愛かったな。
あの時も。

つい右手が股間を握る。

あのあと結局寝バックと、騎乗位もしてもらった。想像するとそれだけで興奮が煽られる。
したくなってきたな。
ムラムラしたまま、深呼吸を数回。ソファに寝転がって目を閉じる。

瞼の裏で思い出すのはやっぱりあの時の剛。次の日、剛を置いて先に俺は出たけど、本気で心配だった。公演は次の日と言えどあんなエロい子、外に出していいのかなって。

つい、左手が携帯に伸びる。
隠し持った剛の写真を呼び出して、右手がスウェットを引き下ろす。

あー、えっちしたくなってきた。

取り出したペニスを握りながらしばらく葛藤。ここで、抜くか。
剛の帰宅を待つか。ため息が漏れる。

目を閉じて悩む。

離れたばっかりの今からこんな気持ちになってたら持つか?俺。
真剣に考えて、剛の写真をスクロール。いいよな、剛は元々性欲薄いからな。俺と離れたらきっとスンっと澄まして色気を振りまくのだ。

こう言う気持ちにはきっとならないだろう。
剛には、こう言う自分磨きは必要ないのだ。

もう一度視線を写真へ。
勢いに乗じて抜くのもアリだが。
溜め込んで、種付けプレスもアリの気がする。

ーーーfinーーー
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