鈍色の空を変える方法
□風邪
1ページ/3ページ
身体が重い。
今は夏のはずなのに寒い。
「・・・っ、やば・・」
ゆっくりと重い瞼を開き、近くにある目覚まし時計を取る。
寝起きのせいか上手く回らない頭で、寝過ごした事を理解した。
起きようとは思うが上手く身体に力が入らない。
するとコンコンとドアのノック音がし、ガチャリとドアが開く。
「ん・・・?」
「一兄、起こしてしまってすみません。僕たち学校に行ってきますね」
「兄ちゃん昨日遅くまで仕事してたから今日はゆっくり休んで。兄ちゃんのご飯は、机んとこに用意してあるから良かったら食べてね」
「ああ、悪い、ありがとう。気をつけてな」
「はいっ」
「行ってきますっ」
ゆっくりと起き上がり、申し訳なさそうに入ってきた二人に出来る限り平然を装い、笑顔を作り見送る。
ドアが閉まった瞬間に枕に倒れ込む。
あの笑顔ならきっと体調不良とは気づかれていないはずだ。
思う様に身体が動かず、この後どう行動するか等考えようとするが頭痛まで出始め、とりあえずもう一度寝ようと布団に潜り直す。
ゆっくりと眠気が襲ってくる中で何か大事な事を忘れているような気がした。