短編

□まだだよねの段
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雑渡さんは、褌や袴を履き、口布をつけて帰る準備をしながらとんでもないことを言い出した。

「あっそう言えば、金曜の実技の時には口でしてなかったよね」

「え"」


予想外の言葉に心底驚いてしまった。なんで雑渡さんがそんなことを知っているのだ?


「え"。じゃないよ見てたもん私。気づかなかった?」


「気づくわけないじゃないですか〜!!どうして勝手に覗くんですか!?」


「名前の様子を見に来たら部屋にいなかったものだから探していたんだよ」


「んん〜」


「そしたらどこかの部屋に向かって歩いていくのを見つけたからそのまま着いていったわけ」


笑いすぎて目が歪んでしまっている。


「見学してたらいきなり始まったものだから出るに出られなくてね」


「えぇ、それって最初からじゃないですか…」


「先生が一物を出した時すごいびっくりして顔してたね」


「だって初めて見たんですもん…」


「私の時もあんな感じだったけど」


「すみません」


「初々しくて良かったよ」


「…それほめてるんですか?」


褒めているんだよと私の髪をぐしゃぐしゃに撫でた。
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