頂き物
□タイニー・トラッカーズ(後日談)
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リンク(どうしようか・・・これ・・・)
子供たちのスパイごっこの件の翌日。
プレゼント用の手のひらサイズの箱を見つめながら、リンクは悩んでいた。
その箱の中には、前日出向いたショッピングモールで購入した物がある。
プレゼントなのだから、当然誰かに渡す為に買ったのだが・・・。
リンク(いざ買ってみたら渡す決心がつかないなんて・・・!)
ミドナ『オイオイ、いつまでそんなメルヘンな箱盛ってる気だよ。キモイぞ』
リンク「うるせえ!メルヘンとか言うけど、なんか知らないうちに付けられちゃったんだから、仕方ないだろ!?」
この箱は、彼の顔見知りの店員が好意で付けてくれたものだ。
当然、あげる相手も予測しての事だ。
ミドナ『そうやっていつまで経ってもヘタレなのどうにかしろ』
リンク「無茶言うなよ・・・」
「どうかしましたか?」
リンク「うおあっ!?」
背後からの声に思わず後退る。
声の正体は確認するまでもない。
リンク「ひ、姫・・・」
ゼルダ「す、すみません、また驚かせてしまいました・・・」
リンク「い、いえ。俺も考え事をしていたもので・・・」
その返答に、ゼルダは安心したように微笑む。
直後、彼女の視線がリンクの手元に映った。
それに気付いたリンクは、一瞬箱を隠そうとしたが、それが無駄だとわからないほど、彼は馬鹿ではない。
ゼルダ「それ、プレゼント、ですか?」
リンク「・・・ええ」
ゼルダ「・・・誰宛なんですか?」
リンク「それは・・・その・・・」
気恥ずかしさから視線を逸らす。
ゼルダはその様を見て、面白くなさそうに唇を尖らせる。
ゼルダ「・・・女の子へのプレゼント、ですよね」
リンク「えっ!?そ、それはまあ・・・」
ゼルダ「・・・ちゃんと、渡せるといいですね」
リンク「!」
そう言って、ゼルダはその場から去ろうとした。
が、リンクに腕を掴まれ、引き留められる。
リンク「あ、貴方に、です・・・」
ゼルダ「!」
その言葉に、ゼルダはぱっと振り返る。
視界に映った彼は、余った片手で口元を覆い隠しているが、顔が赤いのが丸わかりだった。
リンク「すみません、どうやって渡そうか、ずっと悩んでたんです・・・」
ゼルダ「では、他の女の子に渡すって訳では・・・」
リンク「渡す訳無いですよ、俺は貴方に似合うと思って・・・」
言いかけて、視線を逸らした。
耳まで赤くなっているー最早、手で隠す事には何の意味も無かった。
それを見て、ゼルダは満足げに微笑む。
リンク「えっと・・・受け取ってくれますか?」
ゼルダ「勿論です!」
渡された箱の包み紙を丁寧に外していく。
箱を開けると、中には小さな宝石のついたイヤリングが一対入っていた。
ゼルダ「イヤリング、ですか」
リンク「最初ピアスを勧められたんですけど、痛いかなと思って・・・」
ゼルダ「ふふふ、ありがとうございます」
ゼルダは箱を大事そうに抱え、満面の笑みを浮かべた。
その笑顔に、リンクの心臓がどくりと脈打つ。
ミドナ『惚れた弱みって奴だな。クククッ!』
リンク(うるせえ!)
ゼルダ「?」
結局のところ、脳内に響く相棒の笑い声に、その通りであることを再認識せざるを得なかった。