記憶の欠片A
□第31話
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今日は1月1日。アリス学園で無事に新年を迎えることが出来ました。
そして私達は今、学園から支給された着物に着替え、談話室でみんなと新年のあいさつをしています。
お節料理をとり囲みながらみんなで喋りながら楽しんでいるのです……。
お節料理は星階級別の食事制限が無いため、蜜柑も好きなものを食べれてとても喜んでいる。
でも、支給されるお年玉はしっかりと階級別で……。
スペシャル→6万、トリプル→3万、ダブル→1万5千、シングル→6千となっている。
上を見てしまえば少ないと感じる人もいるだろう。しかし、普段よりも多く支給されたお年玉に、みんなは大満足していた。
お節料理を食べ終わると、みんなは各自こまや書初めなどといったお正月の遊びをして盛り上がっている。
私達もお馴染みのメンバーでカルタ取りをして遊ぶことになったのだが……。
「ところで☆……しってるかい?今日が一体、何の日か。」
蜜柑が読み手なのだが、急にカルタにはない句を詠んだため動揺するみんな。
「ちょっと!何勝手にデタラメ詠んでんのよ。」
「今日……って元旦じゃないの?」
「1月1日だからいい日ってこと?」
「うーん残念。」
ルカと心読み君が答えるも、蜜柑の求める回答では無かったようだ。
落ち込んでいる蜜柑だったが気を取り直して少し顔を赤らめながら続けた。
「じゃあねーヒント!今日は誰かさんの誕生日です!!ウフフフフ〜////。」
(……そんな嬉しそうにしちゃって。)
自分の誕生日です。って言っているようなものだ。
そんな蜜柑を微笑ましそうに見ている人も数人いて……蜜柑の誕生日だということを知っているみたいだった。
実は私も知っている。2日前に蛍から聞いたため、ちゃんとプレゼントも用意してある。
その時に蜜柑の反応を楽しみたいとかで、蜜柑には内緒にしサプライズでお祝いすることになったので、みんなも気づかないふりをしているのだ。
「さぁ誰の……っ。」
そう続けた蜜柑だったが……
「みなさーん。年賀状が届きましたよー。」
タカハシさんが年賀状を持って登場したため、みんなはそっちへ行ってしまった。
「わーい!年賀状がいっぱーい!」
「僕宛のどこー?」
積み重なっている年賀状にみんなは群がり、自分宛の年賀状を必死で探している。
蜜柑もみんなに無視されて落ち込んでいたはずなのに、自分の年賀状を受け取ると自分の誕生日だということは忘れてみんなと盛り上がっていた。
「あ、花恋ちゃん。コレ来てるよー。」
「え……。」
今まで年賀状なんてもらったこと無いんだけど?どういうこと?一体誰から……。
美桜は戸惑いながらも、アンナちゃんから1通の封筒を受け取った。
(これって……。)
奇麗な花柄の封筒……。リボンで封がされていて、1本の薔薇が差し込まれている。
これって……中等部校長からだよね。前ももらったことがあるけれど、なんでまた私に……。
花園会の案内なのかな……確か毎年お正月にひらいてるんだったような……。
中等部校長は3人の校長の中で一番苦手だったりもする美桜……。
あまり気が進まないが、断ると面倒なことになるので行くしかないのだが……。
「うおっ、すげーっ今井!年賀状のビルが建ってんぞ。」
美桜は中等部校長からの封筒をそっと着物の帯の所にしまうと、そんな声が聞こえてきたため蛍がいる場所へと視線を向けた。
すると、蛍が座って居る所には年賀状が積み重なっていてすごいことになっていた。
……一体何通彼女の元に届いたのだろうか。きっと仕事上の顧客も多いのだとは思う。