東方短編集
□雨模様
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守矢神社には2人の神様と巫女が住んでいる。巫女は異変を解決し、今は宴会に参加しているのだが……
「雨が降ってきたわ」
諏訪子は言う。神奈子はふっと早苗の事を思い出す。今は博麗神社に宴会に参加している。ということは……
「…ということは博麗神社に泊まるのかしら?大雨だし帰ってくるのは困難でしょ」
神奈子の言うとおり激しく雨が降っておりザァザァと派手な音を立てている。諏訪子はそっと神奈子に近づく。そして何を思ったのか神奈子の唇にキスをした。あまりの突然に神奈子はまたばきを繰り返す。しかし、諏訪子はなんでもないように笑う。そしてこう言った。
「早苗が戻ってこれないのなら…今がチャンス、だよね…?」
そう言って諏訪子は神奈子を押し倒す。更に神奈子は困惑する。何の冗談だ、と。からかっているとでもいうのか。
「あいにく、私は本気よ。神奈子」
心を読んだかのように諏訪子はそう言って神奈子に近づいてゆく。また、キスをするつもりなのだろうか……静かに目を閉じる。しかし、一向に来ない。それどころか諏訪子はクスクスと笑っている。
「…神奈子てさぁ…本当に単純だよねー」
「……は?」
「あんなの冗談に決まってるじゃん。何?期待したわけ〜?」
「………」
あぁ、冗談だったわけか。そりゃそうだ。考えればすぐわかる事だったのに。本当にばかだなぁ…と思う。そう、本当に。
「……そうね。期待してたかも」
「えッ……」
不意に言った言葉に諏訪子の顔が紅く染まる。今度は逆に神奈子が諏訪子を押し倒す。諏訪子はびっくりしたように神奈子を見つめている。そして、神奈子は諏訪子に近づいていく。諏訪子は目を閉じている。しかし、神奈子はいつまでたってもキスをしない。それどころか先の諏訪子のようにクスクスと笑っている。
「本当に諏訪子は単純ねー。そんな言葉簡単に信じちゃうなんて。人の事言えないんじゃない?」
「………先の仕返し?期待してたかも、とか嘘なの……?」
「当たり前でしょ」
そう言うと諏訪子はしゅんとしている。そっちがしてきたくせに何故諏訪子の方が落ち込んでいるのか……これまた理解できない。
「……はぁ…なら、こうするしか…」
諏訪子はまた神奈子にキスをする。1回だけではなく何かに溺れたかのように繰り返す。雨が小雨になって早苗が帰ってこようとお構いなしに。