からっぽの箱
□7話
1ページ/2ページ
side.Y
一番お腹が空く4時間目の授業。
窓際の席はぽかぽかして眠くなるからいけない。葉だらけの桜の木の花びらを数えていたけど、何枚だったか忘れてしまった。
教壇に視線を戻すとばちりと目が合ってそらされる。動揺しているのを感じさせず、はきはき喋る先生の授業は分かりやすいと評判らしい。おまけにするのはもったいないくらい美人でスタイル抜群。
ノリもいいから生徒から先生まで虜にしている。
授業が終われば覚えてもらおうと、我先に女子グループが取り囲んだ。疲れているだろうに嫌な顔ひとつせずみんなの話に耳を傾けている。教室を出ている時にぽんぽんと頭を撫でて出ていくから、
きゃあと黄色い悲鳴が上がった。イケメンとか付き合いたいだなんて声まで聞こえてきた。
『山本先生ほんま美人やなー。しかもおっぱいでかいし』
『な!めっちゃエロい。あ、でもちょっとSっぽいよなー』
あーだこーだエロいことを議論している男子たち。
イケメンでSっぽいねぇ…
あの夜の彩さんを思い出して漏れてしまった笑みをジャムパンと一緒に飲み込んだ。