すべてを君に
□初めての君
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少し肌寒いこの頃。コートのポケットから手を取り出す。突然だが私は今日からこの大きな動物園セントラルパーク動物園に働くことになった。なぜかは私もよく分からない。…ほんとに。
今日はアリスさんという飼育員の方に挨拶にきた。ふー…、と心を落ち着かせインターフォンを押す。
ピンポーン
「あーきたきたいらっしゃい」
「は、初めまして!瀬名蓮花と申します!」
「知ってるわ、よく来たね。中に入って。早速だけど色々説明するから」
「はい!……お邪魔します」
30秒も経ってないぐらいに中に入ることができた。なんだかアリスさんってすごい人だ。いろんな意味で。
「じゃ書類に名前とか書いてね。出来たら早速案内するから」
コーヒーと封筒を渡された。…こんな大雑把でいいのかなあ…笑
「……終わりっと。出来ました」
「ん、じゃ着いてきて。早く仕事して欲しいから」
「あ、はい!」
なんでそんなに私にして欲しいのかは分からないが、とりあえずアリスさんの後を追った。
「ここがゾウの居住区でピーナッツをよく食べてるわ。このゾウたまに自分で毛を整えるから割と助かるのよ。であっちがー」
え、もう次のとこ行くの!?早くない!??
その後もアリスさんの大雑把すぎる説明についていかずメモはえげついことになった。
「で、主に蓮花が担当するのはこのペンギンたちよ!」
突然アリスさんの声が上がったのでそんなにやばそうなペンギンたちなのか、と思っていたら全く違った。
「か、かわいい〜〜〜〜!!!!」
体格の良さそうなペンギン4匹がこちらを向いてキュートに手を振っている。
私も思わず手を振り返す。あーかわいい。可愛すぎる。もはや癒しだよね。
「明日から仕事してもらう予定だから今日は帰ってもいいわよ」
「分かりました!ありがとうございました!またよろしくお願いします!!」
「はいはい。じゃあね」