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□早朝の密会
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朝5時、俺は雨士と会うために河川敷にいた。流石にこの時間帯はサラリーマンしかいない。
「青藍時さん!おはようございます!」
『雨士、今は鬼優だ。』
「そうでしt…、じゃなくて、そうだったな。」
『慣れるまでの辛抱だ。』
雨士は元は俺のことを狙っていたアサシンだった。でも俺とある世界で会ってから俺の人柄に、この人を殺すことはできないと感じたらしく、今ではいろんな世界を一緒に旅している。本名は別にあるのだが、今は関係がないし、この世界では雨士として生きているのでそれ以上は言及しない。
『“あいつ”はまだ記憶が飛んだまんまか、』
「でも鬼優のことを見たら思い出すよ。」
『その時は、あいつのことだ、俺の名前を叫んで膝をつくだろう。だが、それをさせないため、これから極力一緒に行動してほしい。』
「それを言うために、俺を呼んだの?」
『いや、それだけではない。俺は正体を明かした。』
「まじっすか、あ、昨日の練習のとき力使ってましたもんね。えーと、誰だったっけな、えー、」
『霧野蘭丸、神童拓人、両方3年だ。』
「了解。ちょっとは気にかけておくよ。」
『あと今日の件だが、』
「俺はまだ化身くらいで留めたほうがいい?ってことか、」
『そうだ。そしてできれば、昨日連絡先を交換したばっかりくらいの関係でいこう。』
「了解っす。」
雨士は物分かりがいい。だから一緒に世界を旅していても不自由がない。それに雨士のアイディアに助けられることもよくある。
『じゃあこの世界での方針は、この世界に来る前に決めたのと変わることはない。詳しくは“あいつ”の記憶が戻ってきてからだ。くれぐれもアサシンには気をつけてくれ。』
「了解っす!じゃあ、今日の10時に雷門でまた会いましょう!」
そうして雨士は走り去っていった。
俺も走って帰るか、そう思って一歩踏み出した瞬間に、視界がグラっと歪んだ。あー、雷皇鬼優は面倒なハンディキャップを背負ってるなと思い、仕方なく家まで歩くことにした。
そして先輩と会った帰りに病院に寄ろうと思って保険証と貴重品、着替えを持って、雷門へ向かった。
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