book(main)

□明かされる過去
1ページ/3ページ

霧野先輩と神童先輩は絶句していた。俺の家の秘密の部屋には先輩方がこれまで見たこともなく今後見ることもないくらいの機械があるからだ。
『この部屋は時空の唯一の歪み。ここに入るにはタイムキーパーになるか、そいつと一緒に入るかの2択しかありません。そしてここには全ての時空、全ての時間のデータが入っています。もちろんこの今のことも全て決まっていることです。』
神童先輩は少し嘆いたような口調で言った。
「そこにあるデータ、つまり俺たちの運命は決まっていてそれには抗えないということか…?」
『それは違います。現に霧野先輩が亡くなるという運命も変えられた。』
「運命を変えてしまうとどうなるんだ!」
霧野先輩は怖いのか声を荒らげて聞いてきた。
『パラレルワールドが増えるだけです。でも霧野先輩が死んで俺によって生き返ったことによる時空の歪みから発生したパラレルワールドは僕の力で消滅させました。つまり運命はいくらでも変えられる。その度にパラレルワールドはできる。パラレルワールドは増え続ける。でも時空の歪みがない状態だと1番良いと思われる時間だけが動き後の世界は消滅する。そしてそれを決めるのがこの俺。それだけです。』
神童先輩はこの話に納得ができないようだ。
「正しいか正しくないかなんてお前1人に判断できるものじゃないだろう!それにお前にそのパラレルワールドで生きてるもの全ての命を奪うことなんて許されないだろう!!タイムキーパーだからってやって良いことじゃない! 違うのか!」
『だから何万年も何億年も生きてるんだろ!正解がどれかって答えを探して、悩んで、悩み抜いた末に一つ以外全てのパラレルワールドを消す。俺だってやりたくて誰かの世界を消してるわけじゃない!でも、でもな、そうしないといけないんだ!それをすることがタイムキーパーの使命なんだよっ!』
ここで俺は泣いていることに気がついた。そして今話している相手は先輩だったことを思い出した。
『すみません。先輩にこんなことを言うなんて…』
なぜか先輩方も涙を流してくれていた。
「俺らにはお前のその辛さも心の傷も計り知れない。でもお前も苦しんでいるんだな。まるで俺たちがフィフスセクターに抗うか悩んだように、それを果てしなく長い間悩んでたんだな。」
霧野先輩が背中をさすってくれた。俺はこの世界で生きたかったのはこの世界なら心が開けると思ったからだ。俺は嗚咽をもらしながら生まれて初めて心の底から涙を流した。
『ぉ、俺だっ、て、だれか、の、いのち、を、うばいたい、わけじゃ、ないん、です、、』
「その気持ちはわかったから、雷皇、落ち着くんだ。」
神童先輩は冷静にそう言ったけど、優しさがこもっている。俺はしばらく泣いた後、椅子を取り出してきた。
『すみません、ありがとうございます。ではどうして俺がタイムキーパーなんてやってるのかお話しします。』
そうして俺は大昔の話をした。
次へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ