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□告げられる真実
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神童と霧野が鉄塔の上に登ったとき、そこには誰もいなかった。彼らはまだ8時ではないものの誘った方が早く来ているものだと思い、少し残念だった。
人と会うのにスマホをいじっているのは申し訳ないと思い、2人で星空を見ていると上空を飛行機が飛んでいた。

飛行機はいきなり空中で止まった。まるでオブジェクトのように……

彼らは状況が理解できなかった。だが少しだけプロトコルオメガに会った時もこんなことがあったかな、とか思い出していた。

『こんばんは。』
神童と霧野は鉄塔の先を見つめた。なぜなら声がしたのがそこだったからだ。そこには青藍時勝世の姿がある。
そして気がついたら、目の前に彼は移動して来ていた。
「話って何だ?」
霧野は聞く。すると青藍時の姿が見覚えのある姿に変わった。
「何で、お前が、?」
神童は戸惑っていた。驚くのも無理はない。それは青藍時が鬼優に変わったからだ。
『隠し続けるつもりでした。まあこんなに早く正体を明かすことになるとは想定外でしたね。』
霧野は聞きたかったことを聞いた。
「なぜ、俺の命を救ってくれた?」
神童はその言葉に耳を疑い口を開きかけたが、まずは聞くに限ると思い声を出すのをグッとこらえた。
『俺は雷皇鬼優として、あなたたちとプレーがしたかった。だから、青藍時勝世としてはやってはいけない、私情を挟むということをして、霧野先輩の命を助けた。
つまり、時間を操る人間は、人生という時間も操れる。俺はその時間を、“先輩とサッカーがしたい”という身勝手で操ってしまった。ということです。』
ここで神童は聞く。
「お前にとって命ってなんなんだ?」
鬼優が微笑んで言う。
『誰かのために生かすもの。俺はみんなの輝きに照らされることが幸せなんです。だから誰も失いたくないから、俺は命尽きるまで、他人の“死”という運命に抗う。それが俺の宿命です。
他人の命の輝きほど美しいものはないです。
それに、運命は変えられます。でも、宿命は変えられません。
僕の命には宿命があります。それはあなたたちの輝きを消さないことです。
理解し難いと思いますが、この説明で許してください。』
霧野は肝心なことを思い出した。
「これがお前の言う真実か?」
『まあ、それに近いですね、』
鬼優は答えた。
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