五条
□呪霊!?
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まんまとついてきてしまった。
案内された場所は個室で4人座れるテーブル席。対面で座れるというのになぜか私の横に居座った変態。
彼は計画通りと言わんばかりで満足げに私が食べている姿を頬杖をついて見ている。
それにしても美味である。
「先生、食べないんですか?」
「あーんしてほしいなあ」
と口を開けるのでいいところに連れてきてもらったお礼ということで口に運んであげた。
美味しいと目尻を下げるのでこちらまで口もとが綻んでしまう。
子どもみたいでかわいいと不覚にも思ってしまったので集中集中と左側から視線をひしひし感じながら△を食べ進める。
「◯ちゃん、結婚しよ」
思考停止。
食べ進めていた手が止まった。
この人は何てことを言い出すのか。
「先生って恋人いませんでしたっけ?」
風の噂で恋人ができたりできなかったりと耳にしたが、あれは本当にただの噂だったのか。
「いないよ、遊びまくってはいたけど」
そこは正直に言わないでよ、五条さん。びっくりしちゃった。
彼はおかしいな?と顎に手を当てて考えているフリをしている。
絵になりますこと。
「◯ちゃん、職場まで変えるんだもん、もう本当に会えたいんだなと思ったらつらくて、どうにか忘れようとしてさ」
と彼は顔を私にずいっと近づけると
「やりまくったんだ、、、」
と私の耳に彼の形の整った唇が近づく、
「何人も、何人も、、、」
息を洩らすように私の耳元で囁くので腰が砕けそうになるのを下唇を噛んで堪える。
「祓って、祓って、、、ものすごい数の呪霊たち倒しまくったよ」
「呪霊!?」
そうだよ?と私の耳元から顔の前に戻した。
「いろんな女の子をとっかえひっかえしたんじゃなくて!?」
そこ聞くの?とバツが悪そうに頭を掻くトンガリ頭さん。
「いや、先生が紛らわしい言い方するからでしょっ」
別にそこは言わなくていいよと呆れていると
「無意識に全員◯ちゃんに見立てて抱いちゃってたし、結局◯ちゃんとするか、◯ちゃんのこと考えながらひとりでするのが一番気持ち「ストップ!ストップ!」
「そこまで言わなくていいから!」
彼は片眉を上げるとやきもち妬いた?と私の髪を梳くと首筋に手を添え、いたずらに口角をあげた。
「やきません、だいたい私たちは2年前に終わったでしょ?「キスしていい?「こらっ!」
こっちは真面目に話しているというのにこの人ったらと近くにあったナプキンを顔に投げつけた。
見事に命中。
避けることもキャッチすることもいとも簡単にできるはずなのにまた綺麗に受け止める彼。
「だからなんで避けないの?」
「これも◯ちゃんの愛でしょ?」
「ちがーうっ!」
怒っている私を嬉しそうにケラケラ笑う彼を無視してまたも止まってしまっていた食べる手を進める。
「僕には◯しかいないんだってつくづく思い知らされた2年間だったよ」
「へーそうですかー」
「本気で言ってるんだけどな」
といつの日にか見た四角い箱を開けて私の前に差し出した。
そこには4カラットはあるダイヤの指輪が2年ぶりに再びお目見え。
デ ジャ ブ。
「ダイヤが小さかったらプロポーズを断ったんだよね?」
「違います」
「僕と結婚してくれませんか?」
「嫌です」
ひどいっとさっき投げつけられたナプキンを口元にあててわかりやすく傷ついた演技をするのをスルーして指輪を返そうと彼に差し出したがその指輪を取り私の指にはめはじめた。
「あの、先生聞いてますか?」
「とりあえず受け取っておいて」
「無理ですっ」
はめられた指輪はいままで見てきたなにもよりも綺麗で私を見つめてくる。
「すごく似合ってるよ」
「でも、その、先生と結婚するつもりはないです」
「うん、いまはね。
でも、絶対僕のお嫁さんにしてみせるよ。」
自信満々に笑う彼の笑顔はこの指輪よりもキラキラして見える。
「その自信は一体どこからくるの?」
「だって、◯、僕の見た目がドストライクでしょ」
ううっと反抗できずにいると彼は愉快愉快っと言わんばかりに近づくと親指で私の唇をなぞる。
「だから今日は朝まで一緒にいよう」