赤井
□ごちそうさま
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休日。
買い物に来ていた。
後ろにはもう見知った彼等。
「買い物くらい一人で大丈夫ですから、いつまで続くんですか、こんな生活っ」
「君が望むならいつまでも」
「そんなに一緒にいたいなんて、秀一さん、私のこと好きなんですか?」
なっ!と目を見開くと顔を片手で覆い隠した。
なんで顔を隠すんですか?と彼の顔から手を剥がそうとする。
「こら、やめるんだっ」
「秀一さんの顔見たいな」
私の言葉で手の力が緩まり手をずらすと目を伏せ頬を赤らめる秀一さんのお顔がご来光。
あまり表情を変えない彼が顔を赤らめて恥ずかしそうにしているではないか。
ぜひ写真に収めたい。
「秀一さん、可愛い」
一度視線を合わせるとそっぽを向いてしまった。
お気に入りのお店に入ると可愛い服があったので手に取りこれどうですか?と尋ねると零さんはいいと思うと顔を赤らめると逃げるようにして出入口に向かうがカーペットにつまづき脱出失敗。秀一さんは彼と同意見だと顔を赤らめさっきと同じように手で顔を覆い隠すが指の間でこちらを見ている。
ふたりとも可愛いかよ。女子力高め。
「ここメンズもあるので零さんと秀一さんも見てみてはどうですか?」
「そうだな」
これとか似合いそうですよ!と白いシャツとデニムを渡し試着室に押し込んだ。
零さんには黒のフード付きトレーナーと黒のスキニーを渡し試着室に押し込んだ。
程なくして出てくるふたり。
秀一さんは色白な肌に白のシャツがよく映えており、うなじの刈り上げとまくったシャツの袖から伸びる腕が非常にセクシーである。濃い色のジーンズは彼の足の長さを強調している。
零さんは大きめシルエットのトレーナーのおかげて萌え袖だ。黒のスキニーは彼の足の形の良さと太ももとすねの長さのバランスのよさがよくわかる。
「こういうファッションは若者がするんじゃないか?」
「零さんも若者でしょっ」
「俺は29だぞ」
「嘘っ、私と同じ年くらいかと」
「失礼だな」
「でも、すごく似合ってますよ」
私は零さんの横に並び鏡を見ると居心地が悪いのか頬を掻いている。
零さん、かっこいいっと腕を組むと、わっ!と間抜けな声を出した。
「じゃあ、買うか、、、」
満足げな顔で試着室に戻りいつものグレースーツに着替えると私が買おうとしていた服も一緒に持ってレジへ向かっていった。
その背中はかなり意気揚々としていた。
秀一さんはと言うと白は普段気ないからなと鏡をながめ女性店員さんにもきゃっきゃっ言われていた。
かっこいいですもんね。デレデレしちゃいますよね。
「やっぱり、白似合いますね!」
そうか?と片眉をあげる彼を見ると本当にここは日本かと勘違いさせるほどである。
ハリウッドセレブの休日。
かっこいいですよっと笑いかけるとそっぽを向いてしまった。
「あれ、照れました?」
がしっと後ろから抱きつき顔を覗くと彼と目があう。やっぱり顔が赤い。
「君はスキンシップが過度だぞ」
「嬉しいくせに」
だんまりを決め込むと無言で試着室に戻り、いつもの黒ずくめファッションにもどるとレジに向かっていった。
あ、買うんですね。
「零さん、すみません、私の分まで買ってもらっちゃって、ありがとうございますっ」
「別にかまわない」
零さんは私の買ったショッピングバッグと自分のショッピングバッグを持ってまたも満足気である。
秀一さんはおもむろにショッピングバッグを差し出すのでなんだろう?と受け取る。
「さっき迷っていただろう」
中を見ると確かに零さんが買ってくれたものとどちらかを買うか迷っていたものだった。
「え、うそ?いいんですか?ありがとうございますっ。零さんも秀一さんも外見だけじゃなくて中身も完璧ですねっ!」
本当にこんなイケメン見たことがない。
「かなり幸せ者ですよね、わたし」
いつのまにか両隣にいる彼等の腕を組み笑った。
「「いってくれる」」