赤井
□いただきます
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「お二人とも暇なんですか?」
仕事の昼休憩。
当たり前のように私を間に挟んで両隣に座っている零さんと秀一さん。
「暇ではない、これは仕事の一環だ」
「どんな仕事なんですか?」
「もう大丈夫ですって、だから帰りましょう、ね?」
「そういうわけにはいかない」
はぁとため息をつき買ってきたゼリーと栄養バーを取り出す。
「そんなものでは栄養が取れんぞ」
「タバコを吸っている人に言われたくありません。人の健康を心配するより自分の心配をしてくださいっ」
「心配してくれるのか?」
「なにを期待してるんですか?」
期待するような目に負けて加えていたタバコを口から取り彼の方にある備え付けの灰皿に捨てた。
「はーい、心配しましたよ」
「やはり食生活も乱れていたか、これを食べろ」
差し出されたお弁当箱であろうそれは風呂敷で丁寧に包んである。
風呂敷の結び目を解いてフタをあけるとハムサンドがあらわれた🥪
「わぁ、すごく美味しそう、いいんですか?」
「ああ、倒れられては困るからな」
「もしかして作ってくれたとか?」
否定はしない彼。
「いいから食べろっ」
「ありがとうございますっ、いただきます」
彼が作ってくれたであろうハムサンドは絶品で頬がほころぶ。
「とっても美味しいですっ、パンはふわふわもちもちでハムはジューシー、レタスはシャキシャキ、なんと言ってもこのマヨネーズっ、これと合わさって最高ですっ!」
「そ、そうか、、、」
片手で額を抑えうつむいているが耳が赤くなっている零さん。
やっぱり零さんがこの絶品ハムサンドを作ってくれたようだ。
「お嫁さんにほしいくらいです」
「嫁っっっ!?」
バっと顔を上げた零さんの頬は完全に赤くなっていた。
「普通それ男が言うセリフだろ?」
「そうですね、じゃあ無理か」
ハムサンドをまたひとつ口に運び外の景色を眺めているとこちらを見てきゃっきゃっしている女性社員がふたり。なんだ?と思っていると彼女たちはこちらに近寄ってくると零さんに声をかけた。
「あの、ここ最近社内にいますよねっ、おはなししたいと思いまして、少しお時間いいですか?」
「はい、構いませんけど」
「すみませんっ、ちょっとお借りしますねっ」
ちょっとではなくなんならそのまま彼を連れて帰ってほしい。できれば横にいる彼も連れて帰ってほしい。
「秀一さんも連れて行ってくれればいいのに」
「これはかなり嫌われているようだな」
可愛らしい女性社員に囲まれ満更でもないご様子の零さん。
見たこのないような笑顔で談笑している。
ダイヤモンドスマイル。
「彼女さんとかいるんですか?」
「いえ、いないですよ」
「え!本当ですか?すごくかっこいいのでいるかとっ」
すごく距離が近いので嫌でも会話が聞こえてくる。
零さんは私を見ると自信ありげに笑った。
「とんでもない、僕なんて全然ですよ。仕事が忙しくて、なかなか、」
僕!?
「そんなこと言って、本当はいるんじゃないですか?こんなにかっこいいのにいないほうがおかしいですもんっ」
零さんは私を見る。なんなんだ。
「ここでは話しづらいのでもう少し離れたところでお話しませんか?」
女性社員に半ば無理矢理腕を引かれた。
「えっ、あっ、ちょっ」
困ったようにげんなりしついて行くしかない零さん。
「あれ本当に零さん?」
「俺も初めてみた」
「食べますか?」
「・・・ああ」
いつのまにか背もたれの後ろに手が回されたことに気づいたが気にせずハムサンドを差し出すとあっと口を開きあ〜んしろと促す。
「子供じゃないんですから」
「あ〜」
ただでさえ近い距離をさらにつめるのでおでこがくっつきそうになり仕方なく口に運んであげた。満足そうにもぐもぐしているのは可愛くて頬を緩ませると自分の分のハムサンドを口に運んだ。
「口の横についてるぞ」
え?と指で取ろうとすると秀一さんが指で取りそれをちゅっちゅっと舐めた本人の口の端にもマヨネーズがついておりそれを指で取ってあげると、彼の唇が近づきさっきと同じようにちゅっちゅっと音を立てて舐めた。
えっちぃです。
「おいそこ、イチャイチャするな」
「あれ、帰ってきちゃったんですか?」
「当たり前だろ、それとなんであなたが食べてるだ」
「○がくれたんだ」
「○もあげるんじゃない、俺が作ったものが赤井の身体の一部になると思うと虫唾が走る」
「そこまで言うか」
「というかやっぱり作ってくれたんですねっ!」
「あっ、、、」
真っ赤になった零さん。