赤井

□悪い子にはなんとやら
1ページ/1ページ

ここ3日間で美の神様たちにインスピレーションをもらった私は趣味で続けているダンスの練習をしていた。
今日はたまに出させてもらっているナイトクラブでショーをする予定。おひねりも貰えて大万歳。
舞台用の化粧を施し、髪をセットし、ハイヒールを履き身を引き締めた。
ナイトクラブのショーなので衣装の露出度は高い。
はじめはそれなりに布があるが曲の途中で1枚脱ぐとさりに肌を見せる衣装構造になっている。

「○ちゃん、つぎ出番よっ!」

「は〜いっ!」

「さあっ、今日も稼ぐわよぉ〜」

オーナーの意気込みに背を押され舞台の真ん中に立つ。
真っ暗なクラブな中ざわざわとか客席から雑音が聞こえるのを遮断して集中した。

曲がかかるとともに薄暗くスポットライトがあたると客席から歓声が聞こえる。
明るいスポットライトを浴びると一瞬目がチカっとしさらに歓声が大きくなった。
この瞬間が最高に気持ちいい。
目が慣れて客席を見渡す。
奥のコの字になっているバーカウンター右奥に見覚えのある人影。
明るい髪色に褐色の肌、タレ目で青色の瞳のスウィートフェイスの彼らしき人が。
そのバーカウンターの左端には黒のニット帽にゆるくウェーブのかかった黒髪、切れ長の目のセクシーの化身で歩くエロスの彼らしき人が。
ただならぬ視線を感じ視線の先を見ると長い銀髪と悪い目つき、コワモテイケメンでセレブの彼らしき人が怪しげに笑っている。
わけのわからない焦燥感に駆られながらダンスを続けた。
これからおひねりをもらうための見せ場。
客席に降りてダンスしながらVIP席である一番前の席に近づく。
よりによってコワモテイケメンの彼らしき人が座っている。
仕方なく近づき彼の上に跨り頭を振り踊ると彼はニヒルな笑みを浮かべおひねりを胸に差し込んだ。
やはりらしき人ではなく間違いなく先日の彼だった。
焦る暇も与えられず順にテーブルをめぐりおひねりをもらう。
最後はバーカウンターの2人だ。
まずはセクシーの化身で歩くエロスの彼らしき人の股間にわさどらしくお尻を下からなでつけると彼は口元を片手で隠しあの日のバーで見せたように片眉をあげおひねりを胸に差し込む。彼もまたビンゴ。
最後の最後にスウィートフェイスの彼らしき人に近づくと彼は私を見るよりも違う方向を見ていてその方向をたどるとセクシーの化身で歩くエロスの彼を見てなにかに気づいたかのような表情になると怒を含んだすごい形相になった。
知り合い?なんなのと疑問でいっぱいになっていると曲が終わり客席から歓声が聞こえると、

「赤井ぃいっ!!!」

歓声にも負けない怒声が響いた。
声の主を見るとやはりスウィートフェイスの彼でセクシーの化身の彼に殴りかかり彼は何度かかわすが3発目はくらい彼も負けじとなぐりかかるがそれも同じように交わし3発目でくらった。が、まだ終わらないようだ。
ひとまず私はこの場から逃げないと。
私は殴りあいをしている彼等に背を向け楽屋に向かおうと踵を返すが、目の前にはVIP席にいたはずのコワモテイケメンがご登場。

「よお、クソアマ」

まあ、ひどい言われよう。

「付いてきてもらうぞ」

彼は腕を掴み外を連れ出そうとするが係員のボディーガード二人に止められチッと舌打ちをした。

「このツケは死んでもかならず払わせる」

引くぞと隣にいたサングラスをかけた大柄な男に合図すると2人はそそくさと外に出て行った。
危なかったと胸を撫で下ろして楽屋に戻ろうとすると両肩を誰かに捕まれ振り返るとやはり彼等がいた。
迷うなぁ、セクシーなの?キュートなの?どっちが好きなの?
係員のボディーガード2人が駆けつけ彼等の腕がひねりあげられると私の両肩から彼等の手が離れた。
青の瞳と緑の瞳がこちらを睨みつけると

「「やってくれる」」

私は彼等に投げキッスをしてバイバイと指先を揺らし踵を返し背を向ける

「shit!!!」「クソっ!!!」

彼等の言葉を無視して急いで家に帰宅した。
次の章へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ