alf laylah

□フルハウス 5
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「そうだぞ、シウ、それはあまりじゃないのか、ゆうなにまでK国への入国制限かかるぞ」
「いや、チャンミンさんと話した上で決まってます。近々父が大統領を辞任し、長男に権限を譲ろうとしています。僕は秘書を辞めてただの元大統領の息子になる。それゆえにTVXQ帝国にも特殊ビザ申請を認証してもらえました」
書類作成に関わっていたチャンミンさんと僕以外は一斉に口をぱっかーと開けた。
「「「「ええええええー」」」」

「な、なんだよっ、シウミン!俺初耳だぞっ、聞いてないっ聞いてないー!そ、そんなん、えっいけんの?!いや、じゃなくて、お前秘書辞めるとかあの親父が許すわけねぇだろ!殺されるぞ!」
「oh!NO!シウミン!そんなことできるのか!じゃ俺も?可能なのか!え?イェソンヒョン!」
「俺も俺もいけんの?え?そんなあっさり通してくれるもん?俺もう10年追放だぜ?えっえ?」
「えーそんなことできるなら、なんで今までしてくれなかったんですか!それ酷くないです?それに同行してくれるならもっと期間延ばせるでしょ?!なにそれ!!」

ばんっ チャンミンさんがテーブルを叩いて、立ち上がって騒いでいた四人がぴたりと動きを止める。
チャンミンさんはゆっくりと首を降ると、
「同行してもらうのはゆうなの年齢に合わせてとクリスさんの知名度に比例しての警備面の強化の為だ。それゆえに滞在期間は変更できない、学業への影響を考えると内容があがってくるのでどうしようもないんだ、なつき」
なつきさんの腕をひいて座らせる。
「あと、シウミンさんは大統領の元第五秘書である肩書きがあるから申請できたんだよ。敢えて辞めた秘書からの申告、A国からの圧力もあって、申請できたんだ。現役での申請は国家規約違反になる。今までの状態ではできなかった。したくてもできなかったんだよ。落ち着きなさい」
なつきさんの頬に手をあてて、しっかりと目を合わせる。
「これでゆうなが滞在する間の日程を決めてスケジュールを細かく組んで申請して、がなくなるんだ。ゆうなが会いたいと決めてくれたら、たった4日待てばふらりと来てもらえるんだよ」
全てを聞き終えたなつきさんの目が………
ゆっくり開いていって。
「ちゃあああみみみみみみいいいんんん………」
チャンミンさんにしがみついてわんわん泣き出した。
チャンミンさんはなつきさんを抱き締めて優しく背中や髪を撫でながら、目線で話を続けるよう託してきて。
仕草と眼力の温度が凄い。
「でも、シウッ、お前、親父がそんな………こと………」
ルハンさんが肩を震わせながらシウミンさんにしがみつく。
二人の養父は長年民主主義の国に君臨しただけかなり強かな人物で。
陰に徹していたけれど、敏腕で有名だったシウミンさんを簡単に手放すとは思えなかった。
「ルー、長年務めるとそれだけこっちにも有力な情報ができるんだよ。あの愚かな実子にどうしても基盤を譲りたい親父との交渉を簡単にするぐらいの。だから安心しろ、俺達の立場はなにもかわらない契約もさせてる。破れば親父の財産はほとんどが自動的にゆうなにスライドするようにしている」
シウミンさんはルハンさんを落ち着かせんように話すと、
「すまない、さすがにビザ全員は通せなかった。僕だけになるけれど、これで帝国とのやり取りもできるようになるから少しづつ交渉をしていくから」
僕達にも言葉を重ねた。
「これで後はゆうなの習い事の件と、監護権を持つ人物への意志だけだな」
クリスはしばらく放心していたけれど、シウミンさんに脚を叩かれ、
「………そうだな。ゆうな………起きて」
ゆるりと頬と目元を緩め、自分の肩ですうすうと寝息をたてるゆうなの鼻先を自分のそれでくすぐった。
その姿はまるで対の生き物が寄り添う姿のようで。
二人の端正な顔立ちが際立って、とても幸福を感じさせるものだった。
「ん………ダディ………」
「ゆうな。聞いて。習い事、どれが好き?」
優しく低い声で囁くクリス。
ゆうながうっすらと目を開けて、クリスを見つめる。
そのとろんとした瞳が酷く甘くて僕とチャニョルは思わず息を飲む。
「………ピアノと語学ぃや………おりょーりも………」
「なんで?」
「んー………」
ゆうなは完全に寝ぼけていて、皆といるのがわかっていないようだ。脳内はクリスと寝室にいるんだろう。
ごそごそと顔を揺らすと、目を瞑って口を尖らせた。
「ピアノはニョル教えくれるし………おりょーりはギョンスとしたい………語学は………」
「語学は?ゆうな」
クリスが赤ちゃんをあやすように両腕でゆうなを揺する。
「ダディ………が教え………て………」
クリスが本当に嬉しそうにふわぁっと笑ってゆうなの頬にキスをして。
「他は?アートフラワーは?護身術も?」
「………花はルー喜ぶ………から………しゅる………ごぇーは………シウ………心配するから行くよぉ………」
そう呟くと、本格的にクリスの首に腕を絡ませて身じろぎを始めた。
「わかった。ゆうな………誰といたい?」
ゆうなを抱え直しながら、クリスがゆうなの頬に唇を寄せて囁く。
………うーん、以前から目にはしてたけど………ゆうなの年齢があがってきて、少しなんというか………耽美な雰囲気が………隣のチャニョルなんて口開いたままガン見してるし………
でも、本当の衝撃はその後だった。
ゆうなは顔をあげるとすっと瞳を開けて。

「………クリス………」

そう言いながら、クリスの唇にキスをしたんだ。
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