alf laylah

□Lotus flower
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脳がとろけそうなムスクの香り。
どろどろした甘さが鼻を覆って。
喉に滑り落ちてくる。

『 姫………君を僕のものにするよ……… 』

首筋と下半身に走った衝撃に、かはっと口を開いてのけ反った。

再び痛みで朦朧とした世界に光る………

鋭い瞳が近寄ってきて………

また喉に甘さが注がれる………

(………こきゅ、おぼ………れ………)

溺れていく感覚に。

伸ばした腕………たす………け………

ク………


「………ゆうな!ゆうな!」
頬を叩かれる痛みで目を開けた。
霧が晴れるようにうっすらと周囲の輪郭があってくる。
「………シウ………み」
(え)
私の胸元を掴んで覗き込んでいるシウミンの瞳の激しさに。
思わず身をひこうとし、背中の痛みにも気づく。
大理石でできた見慣れたシャワールームの壁に押し付けられている。
(シウミンのジェット………だ、いつの間に?)
自分のおかれている状況がうまく掴めないでいると、ビリリリッと私の服が引き裂かれた。
「え」
シウミンは無言のまま私の下着をちぎり投げ、シャワーを出す。
「ぎゃあ、つめっ、やめ、シウ」
ボロ布をまとったような姿に流れる水の冷たさ。慌てて胸を隠そうと身をよじると、首を掴まれた。

「どこを触らせた」

私の目を見ながらシウミンが吐き捨てるように言う。
蒼白で目だけギラギラと光る表情。
シウミンのスーツの肩越しに、降り注がれるシャワーが私の頬を絶え間なく濡らして。

時折口うるさくなるけど基本は物静かで優しいシウミン。
クリスがいない夜に泣いていると、必ず傍に来て一緒に眠ってくれたシウミン。
ルハンに意地悪されて拗ねてると甘いお菓子を用意して呼びに来てくれるシウミン。
健康状態に敏感に反応してくれて。怪我や病気が治るまで付き添ってくれるシウミン。

大きな瞳をくるりとまわして笑うシウミンの笑顔が大好きなのに。

こんな………冷たい瞳で私を見下ろすシウミン………知らない………

「ああくそっ、全身から麝香の匂いがする………!」

汚らわしい!
そう吠えるように叫ぶと、私の体に残っていた布も剥ぎ取り、顔に胸に足に全身にシャワーを押しあてる。
鼻にも口にも水が入ってきて、噎せるけれど、シウミンは喉を掴んでいた手を肩にまわし、私のを首筋に歯をたてた。
「ぎゃあぁ!」
激痛にはねあがる私をおさえつけ、歯をたてながらビチャビチャと全身にぬるりとした………ボディソープをまき、がしがしと擦り出す。
肩にも、胸にも、全身にボディソープが塗られ、その蓮の香りが心を冷やしていく。
下半身にも全て塗り洗らわれ、シャワーで泡を落としながらシウミンが鼻先を肌に埋め
「くそ、まだ………!」
そう言いながら、胸にも激しく噛みついて。
「いっ、シウ、やぁだぁ!」
乳首を刺激されて痛いのに何か甘くて。
身をよじってもシウミンの歯と舌で肌を甘噛みされ、ますます痛みと刺激で苦しい。
ぴちゃぴちゃと私を舐めるシウミンの頭がどんどん下に下がっていって………
「やだぁ、やっ、あっ………!」
ヴァギナにまで………!
「血………!ああもぅ………殺してやる!」
ぐりっと何かを入れられ、その痛みでまた体が跳ねた。
シャワーの水がウァギナに押し当てられ、流れる水に赤い筋が見えて。
ガタガタと音がしていて、やがて冷たい水に体が冷えきった頃、またウァギナにシウミンの顔が寄って。
「や、やめ、シウ………」
頭を押さえて遠ざけようとすると、反対に足を開かされた。
そして、
「ひいっ………やっ、やぁっ………!」
くちゅり、と生ぬるいものが入ってきて。
シウミンに舐められている箇所がじくじくとむず痒くて。
どんどんお腹の奥が痛くなってくる。
脳が何かに揺らされてるみたいで。
「シウミ、も、やめて、やめて………」
ぼろぼろと涙がこぼれた。
「………いや?」
やっとシウミンが口を離して、見上げてくる。
「や、だ、こわ、い………こんなの、やだ」
私の泣き声の合間にシャワーの音が響く。
「………これで終わるから、少しだけ我慢して」
シウミンは何か小さな瓶を口に含むと、またウァギナに口をつけた。
「やぁっ………!」
ぬるりと何かを淹れられ、また身をよじる。
シウミンに肩を押さえられて、その顔を見つめると………
「シウミン………」
いつものシウミンの目で。
静かにシウミンの顔が近づいてきて、キスをされた。
起きてる時にされるのは、久しぶりのキス。
口を舌で開けられて、シウミンの唾液がどんどん入ってくる。
「ふぅ、ん………」
飲み込めなくて、唇の端からどろどろと流れていって。
口内を何度も舐められ、唇も痛いぐらい吸われて。
息がうまくできなくて、大きく呼吸をすると、シウミンの顔が離れていった。
(あ………)
思わず腕を伸ばすと、一瞬眉を寄せたシウミンが、きつく抱き締めてきて。
「ふぇ、し、しう、ごめんなさい、ごめんなさい………」
(セフンとキス以上しそうになったから怒ってるんだ………)
水で凍りそうになっていた体にシウミンの体温が温かくて。
いつも通りのシウミンの優しい手つきに安心して涙が止まらなかった。
「ゆうな氷みたいだ………」
シウミンはシャワーを止め、バスタブにお湯を出して。
自分も水に濡れた服を脱ぎ、私を抱えて一緒に湯船に入った。
ジェット機のバスタブは一人用であまり広くないから、シウミンの胸の上に置かれ、重なるように湯に浸かった。
ふわふわと水の上に浮かんで。
じわじわとお湯が肌を緩ませる。
その心地よさに目を閉じていると、シウミンが首筋にまた顔を寄せた。
「や………」
「ごめん、もう噛まないから、見せて」
そっと首筋に唇がおしあてられる。
ぴくりと頭を震わせると、ちゅ、と音をたててキスをされ、離れた。
シウミンはお湯の中から腕をあげて、少し上半身を起こすと、私も座らせて太ももの上に置き、じっと顔を見つめてきた。
「ゆうな、セフンの話はクリスにもルハンにもしちゃ駄目だよ」
「え………」
「付き合ってたんだよね?でも、僕達の許可なくそんなことをしたから、さっきのようになったのはわかる?」
シウミンの大きな丸いでも端だけ少しつり上がった特徴的な瞳の中に私が映る。
先程の痛みを思い出して、びくりと体が震えた。
「………はい」
「ルハンやクリスは………もっと怒るよ………怒る………いや………ゆうなが………クリスも………死ぬかもしれない………」
シウミンは大袈裟なことも嘘も言わない。
(やだ………!)
「や、やだ、そんなのいや………」
またぼろぼろと涙がこぼれる。
その涙にキスをして、シウミンはぎゅうと、私を抱きしめた。
「誰かと親しくなるのはいいよ………でも、僕以外に体を触らせたり、キスをしたりしちゃいけない」
「しない、しません、ごめんな、さい………」
ひくひくと嗚咽が止まらなくて。
「仲良くなりたい子がいたら、僕に教える約束また守れる?」
「うん、守るから………ちゃんとします………」
シウミンが何度も優しく頭を撫でてくれる。
「それと、K国に行く時は………僕も同行するようにするからね」
そう言うと、連絡ボタンを押した。

「行き先を変更してくれ。D国のイェソン氏のところに向かう」
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