□レッドアイ
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車内に乗り込むと、案の定小言が土砂降りな状態で。
チャンミンが運転しながら、助手席のなつきにひっしりなしに喚いてる。

ーだからなつきは……

ー警戒心が……

ー僕がいなかったら

想定内とは言えこのチャンミンの苛々した空気に触れるだけでHPが消滅するなぁ……
思わず耳を塞ぐようにかがみこむと、手に持ったままだった携帯が振動し

『ヌナ〜 イトゥクさんと結婚ってなんなんすか〜kwsk kwsk』

『もしかしてまだイトゥクさん家?
押しかけようかなぁ〜』

『僕 とっても焼酎が飲みたい気分ですねぇ〜』

立て続けにメッセージが。
差出人は

『今世紀最強の人たらし』

ーユノ。

うっそまじかよあんなオタクで自分以外に興味ない人間の巣窟セキュリティ課まで話が……!

舌打ちしながら返信をうつ。

『知らん 疲れてるから 今度』

ただでさえ疲労してんのにこれ以上睡眠時間削ってたまるかー!睡眠不足はお肌の大敵!更に今日はまだ月曜日っ明日も仕事なんじゃよおおおお!

ユノはセキュリティ課在籍の、ある事情で技術整備課の私と組むことが多い大学生バイト。
セキュリティ課に似つかわしくない人なつっこさと順応性は(先程みたいに)とても役に立つこともあるんだけど、

『あ そんなことゆうんだヌナ 約束してくれなきゃ社長に詳細聞いちゃっていいですか〜』

「ぶぼほぼぼ」

魔性的に周囲の人を堕としまくってっちゃうのがもぉ……!
会社の重役も、いや、社員から取引先までユノの虜といってもいいぐらいで、ユノが出勤の日は重役達がなんの用もないのに廊下をウロウロしてたり、(先程みたいに)取引先でキャッツファイトが繰り広げられたり(男女で、とかもあったりする)が日常茶飯事。
正直、かなり関わりたくない人物なんだけど、なじぇかなつかれてて、誘いがくる……

やべぇいこのまま放置してたら話が取引先にまでいくかも……!

「で、あんなヌナ?なつきに抱きついてたいた、けしからん不届き少年は誰ですか?あんなヌナが未成年に手を出すのは犯罪ですよ?」

ふあっ!
いきなりこっちにチャンミンの攻撃キター!

「いや、違うチャンミン!あの子は上司の息子さんなの。上司が熱出て寝込んでるのを見舞いに行く途中に出会ったから一緒に居ただけで決してそんなんではない!」

「知られても大丈夫な事実だけで構成した説明」で反撃っ!!

「ほー?上司の?息子さん?なるほど。で、なぜなつきに抱きついていたんですか?理由を聞いてませんよ?お?」

よしっ、チャンミンの攻撃がなつきにそれた!

「チャンミン、チャンミン!テミンくんほんと可愛いんだよ!天使みたいなの!それからね、テミンくんのアッパはあんなオンニの彼氏なんだよ!あんなオンニに彼氏ができたの!」

なつきいいいいいい!
最大級の無自覚爆弾投下しやがったああああ!
まさか身内に殺られるとは!

「あぁ!あ、ねぇなつき!タッカンジョン持って帰ってきたよ!食べる?!」

とりあえず話をそらさねば!

「後でしっかり理由を聞かせてもらいますよ、あんなヌナ?」

『 kwsk kwsk 』

…。…あ、も、どっちがめんどいったら、どっちもめんどいけど、チャンミン、君はもう今日はお腹いっぱいなのよな……

「チャンミン、会社から連絡きたから戻るわ、最寄り駅で下ろして……」
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