Dawn is invited from devil to the party

□第20話
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「「「エミリー、お誕生日おめでとう!」」」


「うふっ。 ありがと」


広間の中央階段の下でプレゼントを受け取る少女。

エミリー・スマートだ。

豪華な装飾やレースがついた白いドレスときらびやかなアクセサリーを身に纏い、髪をツインテールに結っている。


いよいよ彼女に挨拶をする時が来た。

シエル、エリザベス、そしてリゼは覚悟を決め彼女の元へと歩いていく。

リゼはごくりと生唾を飲み込んだ。


「お誕生日おめでとうございます。

エリザベスです。

パーティーにお招きいただきありがとうございます」


エリザベスがドレスの裾を摘まんでお辞儀をする。


「初めまして。 エミリー・スマートよ。

今夜は無礼講なんだから敬語なんてよして?」


ふふ、と笑顔で返すエミリーにエリザベスは、ほっと胸を撫で下ろす。


「わかったわ。 この2人はシエルとリゼよ」


シエルとリゼは軽く会釈した。


「よろしく。 勿論歓迎するわ」


そう言ってエミリーはそれぞれと握手をかわした。


(なんだか友好的だ。 さっきの話からもっと陰険な対応をしてくるかと思ったが…)


リゼは今目の前にいる彼女が酷い事をする人には見えなかった。

先程からの心配は杞憂だったというのか。

様子を見計らい、エリザベスはシエルとリゼに目配せする。


「エミリー、あなたへのプレゼントよ」


そう言ってエリザベスは包装された箱をエミリーに差し出した。

それを見た彼女は表情をパッと輝かせた。


「まあ、ありがとう! 開けてもいい?」


「ええ」


明るく言うエリザベスだが、手が震えているのを見て緊張しているのが窺えた。

箱から取り出されたのはルビーのネックレス。


「……! まあ、とても素敵ね!」


彼女はネックレスをうっとりと見つめた。


「気に入ったわ! ありがとう、エリザベス」


「喜んでもらえて良かったわ」


嬉しそうに微笑むエミリーに、エリザベスだけでなく、シエルとリゼも心から安心した。

これで安心してパーティーを過ごせる。

そう思ったのだが… 


「シエルとリゼ…だったかしら?」


「『‼』」


「2人もとても素敵だわ! リゼのドレスなんか特に可愛いわね」


『…ありがとう』


まさか話しかけられるとは思わず、戸惑いながら言葉を返した。


「きっと、素晴らしいプレゼントを用意してくれたわよねえ?」


そう言って、エミリーはニヤリと笑った。



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