Dawn is invited from devil to the party

□第19話
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美しい広間は多くの人達で賑わっている。


「ハァ…。 よくこんな盛大なパーティーを開いたものだな」


シエルはリゼの横で大きな溜め息をついた。

シエルは普段仕事で多忙なため、パーティーや舞踏会に参加する事は滅多にない。

それらに行くよりも仕事を優先する彼は会場の様子を見て辟易していた。


「そんな事言わないでシエル。

今夜は楽しみましょう?」


シエルの横にいるエリザベスは笑顔でそう言う。

確かに見た目は華やかなパーティーだ。

たくさん並べられた豪華な料理やスイーツ。

リゼ、シエル、そしてエリザベスはある令嬢の誕生日パーティーに来ていた。



***



2週間前。


ーーバンッ!


「シーエールー❤」


「り、リジ…ぐえっ!」


執務室の扉が勢いよく開き、エリザベスがシエルを抱き締める。

めりめりめり…。

エリザベスがシエルの屋敷に突然やって来たのは例のダンスパーティーから数日経った頃だった。


「レディ…そろそろ坊っちゃんを…」


「あっ、ごめんなさい。

シエル、大丈夫?」


エリザベスが慌てて離すとシエルは苦笑しながらあぁ、と言った。


「コホン。 それで、どうしてまたここに来たんだ?」


「シエル、一緒に誕生日パーティーに行きましょう!」


「た、誕生日パーティー?

生憎だが、僕は忙しいんだ。

そんな暇は…」


「それにね、お姉様も誘おうと思ってるの!

3人で一緒に行きましょうよ!」


「お姉様って…リゼの事か?」


「そうよ! 招待状には友達を連れてきてもいいって書いてあったの」


そう言ってエリザベスが招待状を取り出し、それをシエルに見せた。


「エミリー・スマート…?」


「ええ。 彼女の誕生日に盛大なパーティーを開くんですって」


「彼女の事は知らないな…」


「それでも、友達を連れてきていいって言ってくれてるからいい人だと思うわ」


「…お会いした事はないのですか?」


セバスチャンが尋ねる。

シエルも同じくエリザベスの言葉に疑問を持った。


「ええ。 あたし宛てにきたのは今回が初めてよ」


「そうか…」


(スマート家…。 グレン・スマート伯爵か。

彼は宝石商で一気に発展し、広大な土地を持つ実業家だとは聞いている。

このままいけば我が社とも良い勝負になりそうだが…)


「シエル?」


エリザベスに心配そうに顔を覗き込まれシエルは我に返った。


「いや、なんでもない」


ついファントム社の社長としての目線で考えてしまったシエルは首を横に振る。


「じゃあ決まりね!」


「え?」


笑顔で言ったエリザベスにシエルの目が点になる。




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