An encounter between dawn and darkness

□第3話
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『これも買ったし……

よし、買い出し終わり』


ある日の昼下がりリゼは葬儀屋に頼まれ、買い出しをしていた。

賑やかなロンドンの町を歩く。

今日は葬儀屋の服ではなく元から持っている私服で出掛けていた。


(昼間出掛けるなんて久しぶりだな…)


青空を見上げながらリゼはそう思った。




「ねぇねぇ!お嬢さん、綺麗だね〜

良かったら僕らとお茶でもどうかな?」


突然、若い男が話掛けてきた。

取り巻きも3人ほどいる。

男たちは明らかな好奇の目でリゼを舐めまわすように見る。


(…やっぱり目立つな

…自分のこの外見は嫌いだ)


リゼはうんざりした。


『見てわからないのか?

買い出しの帰りだ。邪魔をするな』


そう言って男達を睨み付ける。


「そんな事言わずにさぁ〜」


「すぐそこにオススメの店があるんだ。行こうよ」


しかし男達は無理矢理リゼを連れて行こうとリゼの肩に手をかける。


『離せ!』


「おっと…痛いなあ。

気が強いお嬢さんだね」


『お嬢さんじゃない。

去れ。 この下衆ども』


リゼは毅然と言い返す。

さすがに男たちはリゼの態度に腹が立ったようで強くリゼの両腕を掴んだ。


『!』


「ナメんなよ?

俺達もただの下衆じゃないからな」


ニタリと口角を上げ、1人の男がリゼに囁く。

腕を捕まれたせいで荷物が地面に落ちる。

しかし今はそれを気にするどころではない。


(まずいな…)


きつく腕を掴まれて身動きが取れない。

周りの人々もこちらの状況に気づいてはいるが、面倒事に巻き込まれたくないのだろう。

目を逸らしチラチラとこちらを見ながら素通りしていく。


(まぁ、相手も男4人だからな…)


(自分でなんとかするしかない)



(でも……)








(また…助けてくれないのか)






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