ある日、一行のお姫様が「私も運転したい!」と、言い出した。
一度言い始めたら聞かないので、八戒は不安な表情を浮かべながら運転席を譲り、悟浄と悟空の間へと座る。
「よろしく!」
「チッ」
助手席の三蔵にウインクをすれば、舌打ちが返ってくる。
「オイオイ大丈夫かオヒメ」
「ハンッ、卒検一発クリア馬鹿にしないでよね!」
「ソツケンって何?」
「免許を取るためのテストですよ」
助手席から飛ぶ野次など気にせず、ブレーキを踏みながら自信満々にギアを動かす。
「あれ?」
「どったよ」
「今更なんだけどさ…」
「はい?」
「ジープってマニュアルだっけ…?」
片目を瞑り、てへっ、と、舌を出した瞬間、三蔵のハリセンが頭にヒットした。